観劇

2015年3月26日 (木)

前衛に学ぶ―『砂のピエタ』―

 あらゆる前衛の衰退が著しい。特に文学は売れ行きを、演劇は集客を強く必要とされ、実験精神を失いつつある。このような状況下で板橋区役所前に拠点を構える劇団サブテレニアンは飽くなき探求を続け、今、最も必要である分野の越境に挑戦を続ける。分野の越境は自らの演劇の相克が不可欠であり、賛同する他の分野の力も必要となる。

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 さたけれいこは、今日のパレスチナの動向を動機に、『シャティーラの四時間』を筆頭にジャン・ジュネの様々な戯曲、マフムード・ダルウィーシュの『アラブ、祈りとしての文学』など第二次世界大戦直後のテキストも参照し、『砂のピエタ』の構成・演出を果たした。

 ここに必要なのは、かつてジュネを演じた大野一雄の薫陶を受け、現在は舞踏発生以前から舞踏の根底を知る及川廣信に教訓を得ている相良ゆみだった。つまり相良は舞踏でありつつも舞踏でなく、その為、演劇でなくても演劇で在り続ける演出に耐えることが可能になるのだ。

 開場時から相良と俳優の山本啓介は舞台に蹲り、身を隠している。舞台の壁面に認識できない映像が投じられると、金の鬘を被り、赤いワンピースとハイヒールの相良が舞台を廻る。バッハの《シャコンヌ》がその悲劇性を強調する。テキストの朗読が断片的に続き、総ての衣装を取り除いて人間となった相良の動作を山本が模倣する。アフタートークでパレスチナ里親を続ける岡本達思が明かした死者の名前が記された巻物の上を進む映像と実体が交差する。相良は象徴的なポーズを一切しない。映像もまた抽象的だ。演劇でもダンスでもない一時間の舞台は難解ではなく、間接的に人間の絶望を伝えてくれる。

 かつて人間は屠ることと葬ることによって、仲間を弔っていた。それが緩やかな曲線を経て第一次世界大戦を境に大量殺戮と人権擁護という極端な道に分岐した。ジュネがパレスチナ人を弔う時には、アルベール・カミュの『異邦人』が頭を過ぎったに違いない。家族でも同人種でも同国籍でもない者を屠り葬る恐怖。そこに襲ってくる悲劇は、海を隔てた遙か彼方のイスラエルの問題ではなく、我々の足元にも忍び寄っている。我々が前衛から学ぶことは、これからも多々ある。前衛を生み出すのは創作者だけではなく、立ち会う我々でもある。(八月三一日所見/サブテレニアン)

前衛に学ぶ―『砂のピエタ』―

宮田徹也

写真:飯村昭彦

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SUBTERRANEAN Produce『砂のピエタ』
2014/8/30(土)19:30 31(日)14:30
原作 J.ジュネ(『シャティーラの四時間』『恋する虜』)
舞踏 相良ゆみ
俳優 山本啓介
声  名川伸子(青年劇場) 細川真知子
照明 赤井康弘
音響 山田尚古
構成・演出 さたけれいこ

2014年7月 8日 (火)

『キル兄にゃとU子さん』アフタートーク2013/12/2(月) 西堂行人氏(演劇評論家) 

ゲスト:西堂行人氏(演劇評論家)×赤井康弘(サブテレニアン・サイマル演劇団)司会:菅野直子氏(99roll、劇作家・演出家) 
 
菅野 「キル兄にゃとU子さん」の初演の脚本がシアターアーツに掲載されたのは、西堂さんが編集長を務めていた時なのだそうですが、掲載した理由をお聞かせいただけますか?
 
西堂 震災を扱った最初の作品だったということが一つあります。作家が震災をどう受け止めているのかということに興味があったのですが、疑心暗鬼の中で無我夢中で書いた作品だと思いました。現実に半身を曝している状態で、ある種のドキュメント性が色濃くありました。俳優達もどう扱ってよいのか戸惑いながら、それでもやらなくてはという確信を持ってやっていて、舞台に強さを与えていました。シアターアーツは商業誌ではないので、実験性や問題性を持った戯曲を載せるということを考えており、掲載するのに相応しいと思いました。

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『キル兄にゃとU子さん』アフタートーク2013/12/1(日) 大信ペリカン氏(満塁鳥王一座)

ゲスト:大信ペリカン氏(満塁鳥王一座)×赤井康弘(サブテレニアン・サイマル演劇団)司会:菅野直子氏(99roll、劇作家・演出家)
 
菅野 今日は作者の大信ペリカンさんを招いてトークを行います。大信さんはリライトにあたってどのようなことを考えたのか教えていただけますか。
 
大信 何度か打ち合わせをして、情報をもらったりもしたのですが、結局、ほとんど自分の考えに基づいて書き直しました。
 震災から2年8ヶ月経っていることや当事者性の問題、韓国人が出演することなど、いろいろと考えたのですがうまい回答を見出すことができなかったんです。当事者性ということを考えても、私たちがこれを初演した段階においてすら、被災者という大きな括りの中では当事者性を持ってはいるものの、自分たちが被災したわけではなく、当事者からは外れているのです。それは結局、演劇というものの基本、本質であって、自分は王子でもないのにハムレットを演じる、被災者でない人が被災者のふりをして被災者を演じることになるわけです。そこに疑いを持っていたので、この芝居にも当事者は出てきません。キル兄にゃもU子さんも出てこない。登場人物は、彼らが住んでいたその街を知っていくことで呆然とするという話になっているのです。だから、再演の時もそのままやってもらった方がいいんじゃないかと思ったんです。
 また、2年8ヶ月という時間に関しても、震災直後に書いた時の衝動を、時を経てもそのままやることが有効なんじゃないか、と「あまちゃん」の最終回を見た時に感じました。「あのとき」を思い出すという行為の中に、2年8ヶ月という時間が見た人の中に芽生えてくれればよいと思って。また、「普遍性」やパースペクティブな視点を持たせるために「1970年の女」という新しいキャラクターを出しました。初演時より、もう少し広い空間からU子さんの街を照射していこうと思ったのです。

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『キル兄にゃとU子さん』アフタートーク2013/11/30(土) 柾木博行氏(シアターアーツ編集長) 

ゲスト:柾木博行氏(シアターアーツ編集長)×赤井康弘(サブテレニアン・サイマル演劇団)司会:菅野直子氏(99roll、劇作家・演出家)

 
菅野 今回の企画について、赤井さんより再演にいたった経緯をお聞かせいただけますか?
 
赤井 この作品は2011年6月にサブテレニアンで初演して大きな反響を呼んだ作品です。震災や原発を扱っていますが、40年前からの視点も含めて、個人と政治の関わりという上でもアプローチができる脚本で、5年たっても10年経っても再演する価値がある作品だと思いました。ずっと再演したいと思ってはいたのですが、震災から2年、3年経っている状況や、福島の俳優ではなく東京と韓国の俳優でやるという枠組みでリライトして上演できないかと思い、企画が動きはじめました。

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2007年2月15日 (木)

温泉きのこ「曙〜未亡人のトランペット〜」

温泉きのこ「曙〜未亡人のトランペット〜」
2/12、19時の回を観劇いたしました。
久々にいっぱい笑わせてもらって、大満足!
とある漁港の旅館が舞台、、、夫と死に別れた未亡人と、記憶をなくした男の話。
設定も歌も渋くて素敵でした!

UmpTemp「豚の尻尾」ー金色の血をもつ一族の物語ー

UmpTemp第四回公演
「豚の尻尾」ー金色の血をもつ一族の物語ー
2/11のマチネの回を観劇いたしました。
ガルシア=マルケス の「百年の孤独」を原作にした作品です。
伝説の町「マコンド」の創世、繁栄から崩壊、その雄大な世界観を舞台美術・衣装・演技で表現されていました。