犬猫会「パラナ・ポラー」稽古場レポート04
本日は稽古場を本番仕様の美術にするための本仕込みを行った
美術担当の正岡香乃さんに来て頂き、美術の装飾を完成させていく美術に拘りたいと思って作品作りをしてきたが、犬猫会初期の頃はなかなか自分達だけではやれる事の限界があり、思うように形にならなかった
しかし前回の本公演から美術に正岡さんを迎え、視覚的な効果を生むだけではない、機能的な美術、というものに取り組むことが出来てきている
美術と役者が相互に影響し合える良い関係が今回も出来上がりつつあり、非常に嬉しい
舞台監督の宅間脩起さんのお手と知恵も借りて、作業は着々と進んだ
さて、本日は役者稽古はなかったので、今回演出する上での自分の中にある、ポイントの一つについて少し書きたい
今回の作品はアルゼンチンでも珍しいというSF要素の入った世界観での、女性2人によるロードムービー、そしてその中で変化していくシスターフッドが描かれている
犬猫会ではこれまでにもSF世界観の作品は扱ってきている
その度に考える事が、一体この世界はどこまで続いているのか、そしてこの世界観に身を投じる役者の在り方とは何だろうか、ということである
私がまず台本を読む際に取り組むことは、そう書かれているからそうなのである、というある種絶対的な指針を疑う所からである
これは一人で読む際もそうだし、稽古場での読み合わせの際も徹底的に疑ってかかる
少々意地の悪いというか、天邪鬼の様に思われるかと思うが、私自身はその本を“信じられるかどうか”ということは何よりも大切なのである
このステップは最終的に“信じる”為に必要なプロセスとなる
SF世界観の作品はやはりどうしても自分の常識から離れた部分が多くなり、最終的に納得するまでに時間がかかるが、この腑に落とす作業をやることは急がば回れの法則の一つとして間違っていないと思う
特に役者と共にこの作業をやる事は、共通認識を持ちやすくなる為、その後の稽古がやりやすくなる
それぞれの認識のズレを無くす為にも、初期の読み稽古でどれだけ活発に意見を交わしていけるか
今回はじっくりと読み稽古の時間を作り取り組んだ事で、ある程度の共通認識を持ってここまで進められてきている
ただやはり立ち稽古をやっていく中で発見される事実も多く、稽古時間の配分に関しては中々にバランスを取るのが難しいことを痛感
役者が体に落とし込む為に、ここから1週間は通し稽古をなるべく日々繰り返していき、このSF世界観を生きる体を作っていきたいと思う
明日からの稽古も気を抜かずに進めていきたい
(水野玲子)
作:マルハ・ブスタマンテ
翻訳:仮屋浩子
出演:宝意紗友莉(文学座)・山下智代(犬猫会)
演出:水野玲子(犬猫会/文学座)
音楽:後藤浩明
公演期間:2024.8.22-25
会場:STUDIO ZAP!
« 犬猫会「パラナ・ポラー」稽古場レポート03 | トップページ | 犬猫会「パラナ・ポラー」稽古場レポート05 »
「稽古場レポート」カテゴリの記事
- 犬猫会「パラナ・ポラー」稽古場レポート10(2024.08.20)
- 犬猫会「パラナ・ポラー」稽古場レポート09(2024.08.19)
- 犬猫会「パラナ・ポラー」稽古場レポート08(2024.08.18)
- 犬猫会「パラナ・ポラー」稽古場レポート07(2024.08.16)
- 犬猫会「パラナ・ポラー」稽古場レポート06(2024.08.15)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント