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2024年8月 8日 (木)

犬猫会「パラナ・ポラー」稽古場レポート03

シーン稽古3日目
本日は8~12場

始まりは体を動かすことから始めているが、今日から部分的に芸中で体を使う箇所など何点かあたることに
ある程度回数をこなす必要あり。

8場
昨日発見した部分も生かしつつ、新しい可能性も探っていった

表層的には笑うという行為でも、その動機や目的は様々である(どの行為でも同じことだが)
そのどれを選び、形にしていくのかが演劇の面白さの一つでもある
観客にはある種のこちらが思う正解を提示していく事になる
ただその正解の形が、ガチガチに固められた枠という事ではなく、本番のその日その時の役者や観客の状態から作り出されるナマである必要があり、稽古場ではあくまで『この道筋だとこうなるよね』という回路をどれだけ見つけられるか、という事になると思う
しかし最終的な目標地点がないとブレたものとなってしまう

昨日の稽古終わりでは、目標地点と違った場所に行った印象があった
その為今日は新しい回路を作って行く必要があると思ったが、しかし何度か繰り返し、昨日の途中過程は案外悪くなかったのかもしれないと思い始めた
それに確定、といった訳では無いが、どこまでは上手くいきどこからが修正した方が良いのか細かく探る
なかなか役者も腑に落としにくい箇所だけに苦戦するが、繰り返す内に体に落とし込んでいっていると実感出来た


9場
動きと緊迫感と、スリリングなシーンであるのだが、それだけでなく二人の根本的な関係性が垣間見える必要のあるシーンでもある
荒立ち稽古では動きを中心に作ったが、やはりここでは二人の差が明確になる必要があり、今日はその部分を役者と確かめていきたい
しかし優先順位を決めてやろうと思うのだが、自分の不得手とする分野には当然のことながら時間がかかってしまい、こういう所の事前準備の重要性を感じる
前回の荒立ち稽古から変わった部分も多くなった
模索の時間とはいえ、少し焦りも感じてしまう
毎回ゼロからのスタートにならないよう、積み重ねていきたい


10場
感情的なシーンこそ、冷静に組み立てていく事が必要である
動きと台詞の連動が上手くいっていない部分をなるべく細かく組み立てていく
ここも、やはり一人にならずに相手とのやり取りにする事が基本になっていくということを実感した
自家発電ではなく、相手の状態から受け取ってそれがまた相手に反応として返っていく、という繰り返し
この繋がりを作りやすいポイントをどれだけ見つけられるか
意識の方向性を一つに絞らずに広げていけるようにしていきたい


11場
根本の喋りだす動機、目的を役者と共有
何のために喋るのか、動くのか
目的を見つけることの重要性
何度か繰り返す中で私の中で見つかるものもあり、やはりある程度繰り返すというやり方は効果的であると思う
今の段階でどこまで自分のノートを伝えるのかという事も、今回改めて調整していっている
良い落とし所を見つけていきたい


12場
役者がやりたい事と実際に見え方の乖離がある場合に、どのように調整していくか
細かく話せる時間がある場合(現段階)は話して調整していくことは可能だが、今後時間が限られてきた場合にどうなるか
一方的にそれではない、という事でなく、こちらのどうしてほしいが何故そうなのか、今は何が違和感なのか、端的に言葉に出来る力が必要となる
演出家として自分の考えを言葉にしていく作業は何よりも大切であるが、私自身はそこもなかなか上手くできない部分でもある為、今後スキルを磨いていく必要がある
そういう意味では、共通言語をどれだけ役者たちと共有する事が出来るかも大事である


今日の稽古も、自分自身の弱点も分かりつつ、それでも前進している実感は持てている
固まることなく、深められる所まで深め続けていきたい

(水野玲子)

犬猫会「パラナ・ポラー」

作:マルハ・ブスタマンテ

翻訳:仮屋浩子

出演:宝意紗友莉(文学座)・山下智代(犬猫会)

演出:水野玲子(犬猫会/文学座)

音楽:後藤浩明

​公演期間:2024.8.22-25

会場:STUDIO ZAP!

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