犬猫会「パラナ・ポラー」稽古場レポート07
本日は後半シーンの稽古をした後、通しを行った
当たり前のような話だが、たった一つの台詞でも、それをどう解釈するかによって作品全体の方向性が変わることがある
今回の『パラナ・ポラー』には解釈の余地が存分にあり、やりがいもあればその分暗闇の中をもがき続ける時間も多く必要になる
あらゆる可能性から、何を選び取っていくのか
この時期であったとしても、探求し続ける必要もあるし、同時に決めていかなくてはならない
残り時間も限られてきてはいるが、まだ細部に拘って作っていきたいと、焦る気持ちを抑えての1日となった
細部に拘りたい、といいつつ、なかなか今回はパワープレイで見せている部分もあり、整合性の取れている部分とそうでない部分の違いもまだ残っている
今日のシーン稽古ではそこの整合性を取るために、役者の介錯も確かめつつ、何がゴールに向かうには最的確な道順か探っていく
同じ台詞でもその中にある複数のサブテキストの何をどの割合で見せるのかで、それが相手にどう影響を与えるかが変わってくる
今回出演の役者二人は、どちらも相手の状態にビビットに反応出来る役者である
だからこそ、少しニュアンスが変わるだけでも思わぬ方向に進んでいく
細部を詰めて大きく道をそれることのないようにしつつ、自由度の高さを保ったまま本番を迎えられるようにしていきたい
ちなみに、私のやり方はただただ役者にどう解釈しているかを語ってもらい、それで擦り合わせるという地道なものになるから時間はかかるが、台詞を発する側、受ける側、両方の介錯を合わせるには、なんやかやこの方法は悪くないのではないかと思っている
演出としてどうしたいのかと言うことを先に伝えてほしいと言われることもあるが、私が押し付けたものは得てして面白くなく、役者自身から生み出してもらうというのが一番面白いものになると確信を持っているため、極力こうしてほしい、とは言わないようにしている
あくまでこの作品でどういう事を伝えたいのか、だけを共有していく
(そこを上手く共有出来ているかはまた別問題であり、言語化することが私自身の課題ではあるが)
とはいえ、役者陣はようやく体に馴染んできた部分もあるようだった
それに加えて、まだ足りていない部分も鮮明になってきたようである
明日は台風の為急遽OFFとなるので、それぞれが体を休めつつ、今一度自分の中で整理して明後日からの残り三日間に臨んでほしい
明後日は後藤浩明さんの生演奏との合わせを中心に行う予定
非常に楽しみである
(水野玲子)
作:マルハ・ブスタマンテ
翻訳:仮屋浩子
出演:宝意紗友莉(文学座)・山下智代(犬猫会)
演出:水野玲子(犬猫会/文学座)
音楽:後藤浩明
公演期間:2024.8.22-25
会場:STUDIO ZAP!
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