劇団허리(HURY)「サド侯爵の演出のもとにシャラントン保護施設の演劇グループによって上演されたジャン・ポール・マラーの迫害と暗殺」(マラー/サド)
板橋ビューネ2023/2024参加作品
劇団허리(HURY)「サド侯爵の演出のもとにシャラントン保護施設の演劇グループによって上演されたジャン・ポール・マラーの迫害と暗殺」(マラー/サド)
2024年1月20日・21日 (@ サブテレニアン)
原作/ペーター・ヴァイス 翻案・演出/ユ・ジュンシク 作曲・舞台監督/ユ・ヒオ 舞台美術/ユ・ジュンシク メイク/イ・リン
配役:
ジャン・ポール・マラー/イ・キョンミン シャルロット・コルデー/ユ・ヒーリー ポルポシュ(バリトン)/ジュン・テジュン シモンヌ・エブラール/キム・ジキョン デュペレ/イ・テグワン ロッシニョール(ソプラノ)/キム・ヒジュン ジャック・ルー/キム・ハクジュ クールミエ/チョ・サンウ 看護尼/イ・インギュ
劇団허리(HURY):1990年創立。韓国・議政府を拠点に「チャンドン劇場」「アートスペース・フセオサ」を運営。韓国の断絶の克服、国家による暴力、自然を通した人生などの物語を中心に創作する韓国の劇団である。
上演の一部をYOUTUBEで配信しています。
허리「マラー/サド」 『あなたのための行進曲』
허리「マラー/サド」劇中歌
허리「マラー/サド」劇中歌ラスト
<公演後のアフタートークより>
1月20日・21日 ユ・ジュンシク(劇団HURY)・赤井康弘(サブテレニアン)・桔川純子(通訳)
赤井:劇団HURYは、ソウルと議政府の二拠点に劇場を構え、活動していらっしゃいます。なぜそのような形態をとっていらっしゃるのですか?
ユ:韓国の文化芸術はソウルに集中しています。ソウルに足をおかないと、継続することは難しいです。議政府市は、DMZ、北朝鮮との国境に近いところにあります。韓国においては、南北の分断は大きな問題です。分断は国民に害を与えています。芸術家が被っている害もとても大きなものです。国家は北朝鮮の脅威を煽ってきますが、その脅威に騙されるな、という思いで演劇をしています。
劇団名の「허리」「HURY」は韓国語で「腰」という意味です。議政府市は韓国の腰にあたります。南北の分断で韓国はいわば腰を切られた状態にあるといえますが、再生を願って活動をしています。
再生をして、和合をしたい。家庭も、恋愛も、民族も、再び出会って和合をすることは大事なことです。
そうした活動も、ソウルで公演してこそ運営ができています。私は、人に恵まれているので、ソウルでも活動ができています。
赤井:「マラー/サド」はフランス革命を背景にして全体主義のマラー、個人主義のサドという対立がありますが、ジュンシクさんはどちらの立場をとりたいと思っていらっしゃいますか?
ユ:私はサドを演じましたが、立場としてはマラーを支持しています。だから、演じる時に矛盾を感じましたね(笑)
赤井:劇中では、韓国の光州事件で歌われた民衆歌が歌われましたね。
ユ:今回の「マラー/サド」は韓国を舞台に翻案して、四つの次元があるといえます。一つは劇中劇の主題である、フランス革命でマラーが暗殺された事件の次元、そして、それをサド侯爵が劇として取り上げたという設定の15年後の次元、ペーター・ヴァイスが戯曲を書いた次元、そして舞台としてとりあげた韓国の次元です。ラストの場面ではナポレオンの肖像が掲げられましたが、それはユン・ソンニュル大統領
にも、岸田首相にも置き換え可能です。
赤井:韓国で上演した時はどのように受け止められましたか。
ユ:意義や意味が前面に出るものは面白くないです。最初は笑っていた観客も、だんだん何かに気付いていく、という私たちが望んでいた感想が返ってきました。
赤井:日本や世界でも共通するものはありますか?
ユ:あると思います。公演のために日本に来て、何日か過ごしてみて、日本はとても平和的な感じがしました。一緒に来た仲間とも「静かでいいね」と話していました。昔は国家が目に見える形で民衆を弾圧していましたが、いまは、メディアや教育を使って支配しています。「静かでいい」ということではなく、支配されているということではないでしょうか。教育は本当に重要です。
ーーー観客よりーーーー
質問:「マラー/サド」は映画では見たことがあるのですが、演劇の上演を見たのははじめてです。(「マラー/サド」1967年、ピーター・ブルック監督)韓国では上演されているのですか?
ユ:国家が個人に与える影響は本当に大きいです。とくに韓国でも去年から国家の圧力がとても大きくなっています。こんな時にこのような芝居を打つ意義は大きいと思っています。
質問:劇の最後でジャック・ルー(元神父・社会主義者)が叫んでいた言葉を教えてください
ユ:「あなたは何をみたのか あなたはいつ見るのか」という言葉です。ペーター・ヴァイスの意図があらわれている言葉だと思います。
質問:精神病院が舞台でしたが、患者役の役者さんそれぞれには、韓国の現代社会を想定した背景があるのでしょうか。
ユ:はい。それぞれの役に設定があります。俳優たちは、それぞれ役の設定を理解して演技しています。
ーーーーーーーーーーーーーー
公演を通じて、交流を深めたいというお互いの願いが合致して今回の公演が実現しました。今後も交流を続けたいと切に願っています。
(サブテレニアン さたけ)
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