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2021年5月

2021年5月 6日 (木)

アシカビ『ささやかな革命』サブテレニアン15周年記念月間

サブテレニアン15周年記念月間

 

『ささやかな革命』アシカビ
2021/5/12-16

 

アシカビ

生野和人の一人芝居。出演、脚本、演出、照明、音響、美術、舞台、制作、受付から全てを一人で行う公演……等と言えば、周りからは「凄いね」と言われるが、実際は『人とスケジュールを合わせるのが面倒』『スタッフへの気遣いやコミュニケーションが面倒』『面倒、面倒、面倒……』で始めた公演。でも今更になって、頼める事は人に頼んだ方が面倒は少ないと気づき始めている……。でも、今回も一人でやる。手伝ってくれる人を探すのが面倒だから……。

 

 サブテレニアンは15周年記念月間として、5月12日よりアシカビを迎える。アシカビはこれまでサブテレニアンで三作品を上演してきた。(『突如、ざあっと雨の降りだす音.・・・。』『どとくさまくら』『先ず、彼は喉の渇きを訴えた』)いずれの作品も「出演、脚本、演出、照明、音響、美術、舞台、制作、受付から全てを一人で行う」というスタイルでの公演で、独自性が群を抜いている。今回は、アシカビの生野和人さんにお話をうかがった。


---今回の『ささやかな革命』は河原で稽古をしていらっしゃると聞きました。

 

 はい。普段利用している施設が感染予防で使えないため、江戸川の河原で稽古をしています。僕の場合、稽古といっても一人っきりです。スタッフさんに見てもらうことはあるのですが、今回はそれもしていません。

 

---いつからいまのスタイルで公演していらっしゃるのですか。

 

 いまの「アシカビ」の前は、「ハンザキ」といって二人芝居をしていたんです。僕が脚本と演出を担当して、客演の方を毎回呼ぶというスタイルでした。それがいつからか面倒になってしまって…。
 一人芝居を始めたのは、大阪のインディペンデントシアターの一人芝居フェスティバルに出演したのが最初です。その時は脚本と出演で参加しました。観客投票が出演者7人中7位で、全く受けませんでした。トップバッターで、場の雰囲気を作るのが難しかったですね。お客さんは笑いを望んでいるようなところがあったのですが、そういう芝居でもなかったので。
 その後、西伊豆の土肥金山の古民家で一人芝居をしました。古いアパートで眠っている奥さんの身体を拭くという芝居です。この作品はサブテレニアンでも上演しました。その後はサブテレニアンで二作品を上演しました。そのうちに今のスタイルに落ち着きました。

 

ーーー私も拝見しました。アシカビさんの作品は、「笑ってよいのか、悪いのか」という微妙な線を作品を通して貫かれている点が優れていると感じました。

 

 「笑ってよいのか、悪いのか」という点はインディペンデントシアターで上演した際に知人からも言われました。

 

ーーーその後の「アシカビ」では脚本、演出、出演…と全部ご自分でなされているんですね。

 

 一番やりたいのは脚本を書くことです。芝居をやるために上京したかったのですが、親は理解してくれなかったので、上京して一年間は電気工事の仕事をしてお金を貯めました。100万円貯めて、親にも言い訳が立つだろうと思い、仕事を辞めて劇団に入りました。当時は100万円といったら、一生食べていけるくらいのお金のように思っていたのですが、すぐになくなってしまいましたね。なくなってからも一日桃の缶詰一つとかで食費をきりつめ、劇団の稽古と、稽古に行かない時は布団の上で本を読むという毎日でした。そうしたら、布団が真っ二つに割れてしまったんですよ!同じところに座り続けたからでしょう。「さすがにダメだな」と思って、バイトを始めました。
 劇団とバイトの日々でしたが、劇団の芝居が面白くなくて…。特に脚本に納得がいかなかったんです。そのうちに劇団が解散になってしまいました。

 

ーーーそれでご自分ではじめられたのですね。サブテレニアン以外ではどのようなところで公演しているのですか。

 

 高田馬場のプロトシアターで公演しました。小屋の方に結構気に入ってもらっていました。他には先ほど言ったインディペンデントシアターや古民家、今稽古している河原でもやりました。芝居の中で江戸川に飛び込んでみたかったんです。芝居は昼に始まり、次第に日が暮れてくるという設定で、自然光で上演しました。
 僕は小屋で上演する際は、大体一時間くらいの室内の話を書いているんです。室外の設定でもやってみたことがあるのですが、照明の方に「だんだん日が暮れていく設定にしてください」とお願いしても、難しいんですよね…太陽が西に沈んでいく経過を照明で表現するのって。それで、必然的に室内の設定になるのですが。

 

ーーーこだわっていらっしゃるんですね。確かに舞台を拝見すると、細かいところが「リアルだな」と思います。そして、お聞きして驚いたのですが、舞台上の時間の経過が実際の時間と合ってているのですね。

 

 そういうことが多いですね。

 

ーーーこだわりというと、古銭へのこだわりがある作品がありましたが、古いものがお好きなのですか。

 

 古道具やさんを見つけると、必ず立ち寄ります。一番好きなのは腕時計で、外国の銀貨集めも好きです。寄生虫博物館などのB級スポットめぐりや石集めなども趣味です。鉱石を拾いに鉱山によく行きます。

 

ーーー映画や小説ではどのようなものがお好きですか。

 

 映画は、黒沢清監督が大好きです。小説では安部公房と村上春樹です。

 

ーーー今回はどんな作品になりそうですか。

 

 部屋の中にずっといる鬱屈した男の話なんです。なんだか、ステイホームで思いついたように思われそうですが、昔からあたためていた設定なんですよ。モデルにした方が近所に住んでいるのですが、その人をずっと観察しているうちに、妄想が膨らんできたんです。詳しくは作品をご覧いただいてのお楽しみにしたいと思います。

 

ーーーいつもサブテレニアンの空間を上手に使っていただき嬉しいと思っていました。お話を聞かせていただいて、細部へのこだわりがそうさせているのだと気付きました。脚本、演出、出演とすべてお一人で担っている点もサブテレニアンの小さな空間に適していると思っていましたが、図らずもコロナ禍の状況でも上演可能なスタイルだったのかもしれないですね。今後のご活躍も楽しみにしています。

(聞き手 さたけれいこ)

 

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