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2021年4月

2021年4月29日 (木)

濵田明李『Largo Longueur』サブテレニアン15周年記念月間

サブテレニアン15周年記念月間

 

Largo Longueur』 濵田明李

2021/5/2-5

 

濵田明李 はまだ・みり

1992年高知県南国市生まれ。武蔵野美術大学油絵学科油絵専攻 卒業。

パフォーマンスで作品をやり始めしっくり来る。その中では、達成を目指さなかったり、中止したり、その場所の特性を取り入れたり、オブジェを持ってきて、15分とか20分とかのあいだに起きる一連のことを観客と共有するというのが特徴。

2017年から2019年位までのメキシコに住み、好奇心の赴くままに学ぶ。

他のアーティストとの有形無形の恊働や自主企画にも積極的。

 

ーーサブテレニアンでは、過去2回、濱田さんの企画でパフォーマンス公演を行っていただきました。その後、2017年から2019年までメキシコにいらっしゃったそうですが、どのようなことをしていたのですか。

 

 外国人学校でスペイン語やメキシコの歴史などを勉強していました。学校はアートとは関係なく、出自や仕事も様々な、10代から60代まで幅広い世代の方が通っていました。

 また、メキシコでパフォーマンスを行っているアーティストを知人に紹介してもらって、美術館やギャラリーなどで行われているワークショップ等に参加しました。自分でもパフォーマンスを行いました。

 メキシコの平均年齢は20代で、日本は40代なんだそうです。端的に若者が多いという印象があります。デモも盛んで、たくさん人が集まってきます。

 悲しいことに女性に対する犯罪は多いです。地下鉄の中には行方不明の若い女性の写真がたくさん貼ってあって驚きました。女性をフォーカスしている展示は多かったです。貧富の格差も大きく、先住民への差別も感じました。

 

ーーー濱田さんとはNIPAFの公演で知り合いましたね。

 

 はい。NIPAFの霜田誠二さんに武蔵野美術大学の映像科の授業で学んで、公演にも参加しました。いろんな国の人が参加していて、外国にも何度か行きました。

 

---私はサブテレニアンで、東急ハンズの買い物袋や、アマゾンで届いた段ボール箱をその場で開けていくというパフォーマンスを拝見しました。無機質な物と、それに向かい合っている濱田さんとの距離感が印象的でした。一方、メキシコの路上とアルゼンチンのギャラリーで行ったパフォーマンスをネットで拝見したのですが、こちらは布や、観客が運んできた石などの素材を使っていて、身体との接触もあり、違いを感じました。

 

  私のパフォーマンスでは、身体にアプローチするよりも、愛着のない物質を使うことが多いです。日本で行ったパフォーマンスも、メキシコ、アルゼンチンで行ったパフォーマンスも、大きな違いはありません。「物を動かしたらどうなるのか」ということに興味があります。身体はそうした物質の延長のようにとらえています。身体も物も違いがなくて、腕や足も道具というイメージがあります。

 

ーーーサブテレニアン、ギャラリー、路上など様々な場所でパフォーマンスを行っていますが、違いはありますか。

 

 路上でも、ハプニングのように突然行うわけではなく、告知をして行っているので、大きな違いは感じていません。屋内で行うときも、自分のパフォーマンスは風景のように感じてもらうことを考えています。

 パフォーマンスにもいろいろなものがあって、観客が不在でコンセプトだけのものもありますが、私の場合は観客がいることが前提です。

 

ーーースマホのゲームを使ったパフォーマンスも行っていらっしゃいましたね。

 

 はい。京都のHAPSが開催した展覧会に、ゲームを使ったパフォーマンスで参加しました。ゲームの参加者を募って、ボイスチャットをしながらゲームの空間を共有します。シューティングのゲームなので対戦を行うのですが、私はその間、小説を朗読していました。

 こちらは、いろんなハードルを乗り越えていくという点も面白かったです。アプリをダウンロードしたり、その前にスマホの容量を確保するために他のアプリを消してみたり。能動性に干渉できるのが面白かったですね。

 

ーーーコロナ禍で感じたことはありますか。

 

 イベントの宣伝がしづらいな、と感じています。親も心配だと言ってきます。2020年の秋からはイベントの機会は多くありました。

 メキシコ行きのチケットを持っているのですが、コロナ禍で行けなくなったまま今に至っています。

 あと、お酒を飲むのが好きなのですが、「飲み会の状況っておもしろかったよなー」と。夜中に友達とどこかに行っちゃったり、それまでいなかった人が来たり、またいなくなっちゃったり。面白い時間の共有の仕方していたような気がします。それってパフォーマンスっぽいような。

 生活の中にパフォーマンス的なものが紛れ込んでくることが面白いと感じています。生活にどのようにパフォーマンスの要素を入れていくか、パフォーマンスのある生活とはどんなものなのか、そんなことを考えています。

 

ーーー先ほど、メキシコは端的に若者が多いとおっしゃっていましたが、若者だから言いたいようなことはありますか。

 

 過去の遺産(文化の貯蓄)をどのように受け継いでいくか、それが困難だと感じています。若い人ほど不可分所得が大きいというか。

 

---文化の享受が所得の大小で制限されてしまうのは、貧しい社会のように感じますし、文化そのものも衰退していくような気がしますね。

 最後に、サブテレニアンでのパフォーマンスについて教えてください。

 

 実は、単独でのパフォーマンスは珍しいんです。昼と夜でちょっと違うことをやります。昼はスペイン語の"Largo"、夜はフランス語の"Longueuer"として、二つの似ているけれども違っているものについて考えてみたいと思っています。

 公演の後、毎日22時にZoom でロビー室を開催します。こちらは、作品をご覧になっていない方も参加できますので、ぜひご参加ください。

(聞き手・さたけれいこ)

濱田明李『Largo Longueur』公演詳細、ロビー室詳細はこちら→Largo Longueur』ホームページリンク

 

2021年4月19日 (月)

仙台シアターラボ『ペスト』ーーーサブテレニアン15周年記念月間

サブテレニアン15周年記念月間
仙台シアターラボ『ペスト』
原作/アルベール・カミュ「ペスト」
構成・演出/野々下孝
2021.5.1-2

*公演は6月19日、20日に延期になりました。 

2021.6.19sat  18:00

2021.6.20sun 13:00/17:00

 

 15周年記念月間としてサブテレニアンでは仙台シアターラボを迎える。サブテレニアンでの公演は2013年『透明な旗』(構成・演出/野々下孝)、2017年『特別な芸術』(構成・演出/野々下孝、原作/芥川龍之介)以来の公演だ。コロナ禍にあって、他地域での公演は躊躇するところもあるが、地域交流は劇団として大切にしているテーマの一つなので、自粛はしなかったとのこと。『ペスト』は、サブテレニアンでの公演のあと、d-倉庫の”「ペスト」フェスティバル”にも参加するとのこと。(2021.5.4)
 仙台シアターラボは結成より11年。仙台市から舞台芸術を発信し、ワークショップや教育普及事業などアウトリーチも活動の柱としている。代表の野々下孝氏に、今回の作品や劇団の活動、コロナ禍で考えていることなどの話を伺った。

野々下孝

大学入学と同時に仙台で演劇活動を開始。
1997年にシアタームーブメント仙台Ⅱ「光が丘から」に主演。
卒業後、先端的な舞台芸術のカンパニー 劇団山の手事情社に入団。
徹底した自己観察を通じて、現代生活で鈍りがちな対話能力や、身体感覚を研ぎ澄ます訓練を繰り返し行い、集団創作による《山の手メソッド》の確立と発展に関わる。
現代劇のみならず、落語、浄瑠璃、能、ギリシャ悲劇、シェイクスピアなど東西の古典作品を上演。
《四畳半》と呼ばれるスタイルで現代演劇の様式化に取り組む。
韓国、ポーランド、スイス、ドイツ、ルーマニア、ロシアなど海外公演にも多数出演。
また《山の手メソッド》を用いた俳優養成にも力を入れており、各種学校、企業などで、ワークショップや授業を行う。
2010年に活動の拠点として仙台シアターラボを旗揚げ。現在は東京と仙台で活動中。
フィジカルシアターと呼ばれる現代演劇の新潮流をホームグラウンドにして、様々なジャンルに活動の場を広げており、演劇を抽象化する作業と、身体能力には定評がある。

 

「河原でも稽古をしましたよ」---今回の『ペスト』について---

---2010年に旗揚げして、2020年に10周年を迎えたのですね。

 はい。実は…10周年としてあたためていた企画がありまして。現在仙台で活躍している俳優に、かつてシアターラボで共に活動していた仲間がたくさんいるんです。原西君や言言の飯沼君、短距離弾道ミサイルの本田君、そういった方々を客演として迎えて、地域を回る公演をしたかったんです。ところが、このコロナ禍で客演を呼ぶことが叶わなくなりました。
 旗揚げの際も、2010年は実験公演を行い、2011年に本公演『腐敗』を上演しましたが、東日本大震災に見舞われ、予定を延期して行っています。旗揚げも10周年も試練に見舞われていることになります。
 2020年は劇団員を中心に稽古をしていました。コロナ禍のため河原でも稽古をしましたよ
! 劇団員の絆は深まり、困難に立ち向かう強さが生まれました。9月にトライアル公演(Fukushima Meets Miyagi Folklore Project#4 TRIAL 『ペスト〜我々は人を死なせる恐れなしに身振り一つも成し得ない〜』)、12月にシア・トリエと合同公演(Fukushima Meets Miyagi Folklore Project#4 『ペスト〜我々は人を死なせる恐れなしに身振り一つも成し得ない〜』)を経て、2021年5月のサブテレニアンとd-倉庫での公演は単独の本公演となります。

---サブテレニアンのチラシの作品紹介にある、仙台の自立援助ホームを出た青年という設定に想像力をかきたてられます。どこからその発想が出てきたのでしょうか。

 A・カミュ「ペスト」の登場人物、犯罪者のコタールをモデルにしています。ただし、トライアル公演、12月の公演を経て、少しづつ作品が変わってきています。
 いまは土木業を営む一家、三人の息子とその親という設定を軸にしています。合同公演を行った際、実生活で土木業に携わっている出演者が、福島で汚染土をフレコンバックに移す仕事をしていたそうなんです。それが作品のコンセプトになりました。
 A・カミュ「ペスト」には死刑制度を問うテーマもあり、僕たちの『ペスト』では「我々は人を死なせる恐れなしに身振り一つも成し得ない」という言葉を掘り下げています。東日本大震災では、東北の人はみな遺族になってしまったんです。誰一人自分事ではない人はいないということです。
 震災から十年、ペスト、東北の地、それらが重なり合っていく作品です。

 

---2020年のコロナ禍について---

---2020年のコロナ禍で被った影響はいかがなものでしたか。

 様々な演劇祭が企画されていましたが、見事に全部とんでしまいました。自分たちが関わった企画も、それ以外にも。客演を呼ぶ予定だった劇団10周年の企画もそうです。
 アルバイトをしている劇団員には大きな影響がありました。シアターラボは劇団として、学生に進路指導を行う派遣の仕事を受けていたのですが、イベントが無くなってしまったので、半分クビのような状態になりました。ライブハウスのアルバイトも同様です。そのような中、仕事探しをしつつ、河原を走って稽古をしていました。

---稽古はしたいと考えていらっしゃったのですね。

 はい。劇団員はみな「稽古しましょうよ」と。時間はありましたからね。でも、どのようにして行なおうかと…。「密はダメらしい」ということで、屋外の稽古はOKにして。もともと小さな空間で上演するための稽古だったのですが、大声で、大雑把な演技ばかりしていましたね。
 そんな中、渡部ギュウさんが公演を行うと言いまして。(『今は昔、栄養映画館』作/竹内銃一郎 構成・演出/高橋菜穂子 2020年7月@10-BOX)その準備のため、話し合って劇場と稽古場(10-BOX)のルールを設定したんです。それまで各々の劇団が手探りで、それぞれのやり方で利用していましたが、複数の劇団で検討して、劇場としてのウイルス対策のマニュアルを作りました。そこからですね。劇場や稽古場を使えるようになってきたのは。

---それは大きなターニングポイントですね。演劇の現場では感染対策と上演、稽古を慎重に行っているわけですが、新型コロナウイルスの影響の終わりが見えない中、考えていらっしゃることはありますか。

 大学演劇が壊滅的な影響を受けていることが気になります。大学や高校演劇の出身者が地域の演劇を支えているからです。大学の施設が使えないので、公演の数が減りました。高校演劇も同様です。宮城県では高校演劇の総合研修会やリーダー研修会で各地の高校生を集めて講座を行っており、シアターラボは講師を務めているのですが、それも中止になりました。若い方が演劇をやりたいと思ったときに知恵や場を与えられるよう、コロナ禍でも、シアターラボでは門戸を開けておきたいと思っています。
 また、地域間交流も大事にしたいので、東京で公演を行うことも異論はありますが、自粛はしたくないと思いました。

---そのようにして公演を行っていただけることは、大変ありがたいです。

 

---東日本大震災から10年、仙台シアターラボの10年---

---10周年の話に戻るのですが、お聞きしたいことがあります。シアターラボの10年は、震災の復興と歩みを共にしているように感じます。ボランティア活動やワークショップを行い、復興に関わってきた思いと、演劇への思いについてお聞かせいただけますか。

 シアターラボを立ち上げる前、東京で演劇の活動をしていた頃、稽古場で稽古をして劇場で公演を行うという毎日でしたが、実生活と演劇人としての生活が分離しているように感じていました。演劇人としての自分は地域から孤立しているのではないかと。近所付き合いも自分にとっては大事なことなんです。子供もいましたし。舞台の上では演劇人でも、舞台を降りると自分に自信が持てず、何者なのだろうと。僕は、演劇人は生活の上から演劇人であるのが本来のあり方だろうと思うんです。
 元々そう考えていたので、シアターラボでは震災の前からコミュニティ形成を大事にして、ワークショップなどを行ってきました。2011年3月15日も、ワークショップを行う予定だったんですよ。中止になってしまいましたが。
 震災のあと、仙台の演劇人有志がARCT(Art Revial Connection TOHOKU)を立ち上げて、「出前部」といって被災地を回って相撲をしたり、マッサージをしたり、運動やダンスをしたり、公演をしたりという活動を共にしてきました。
 ただし、ジレンマもありました。作品のクオリティを上げることよりも、分かり易く親しみやすいものに偏っていったような気がします。「目の前の人を喜ばせたい」という思いで。それが一番大事なんですけどね。
 作品の照射距離が近いんです。時間的にも空間的にも。5年後、10年後には通用しなかったり、他の地域に行くとまったく受けないとか。
 もっと若い人が見て、「自分たちもやりたい」と思うような演劇がしたいです。

---若い人の目線を大事にしたいという思いに共感します。彼らは未来を見ていますものね。人材育成を大事にしているというシアターラボさんの理念に通じるところがありますね。
お話聞かせていただきありがとうございました。『ペスト』楽しみにしています。
(聞き手・さたけれいこ)
 

2021年4月18日 (日)

サイマル演劇団presents ポエトリーシアター『吠える』---サブテレニアン15周年記念月間

サブテレニアン15周年記念月間
サイマル演劇団presents ポエトリーシアター『吠える』
原作/アレン・ギンズバーグ
構成・演出・美術/赤井康弘

 「僕は見た 狂気によって破壊された僕の世代の最良の精神たちを」で始まるビートの代表的な詩を原作に、他にオクタビオ・バスやホイットマンの詩とともに構成するサイマル的ポエトリーシアター。
 出演は、サイマル演劇団の公演には十年来の常連の葉月結子、一昨年のサイマル演劇団の公演、S・I・ヴィトキェヴィッチ原作『狂人と尼僧』に出演した赤松由美(コニエレニ)、竹岡直紀の三人。三人の共演はこれで二回目となり、より熟成した演技のぶつかりあいが期待される。
 今回は三人の俳優に、コロナ禍での活動や15周年をむかえたサブテレニアンについて、率直な思いをうかがった。

 

葉月結子

高校演劇を経て上京、舞台芸術学院に入学。卒業後、池田聖智子ダンススタジオ「スフェール・グノジェンヌ」に入門。発声、呼吸法、歌唱を様々なアーティストに師事。サイマル演劇団の公演等に多数出演。および映像、パフォーマンス、コント等、国内外ジャンル問わず、フリーで活動を行なっている。

---この十年来、サイマル演劇団の公演には毎回出演されていますね。昨年もコロナ禍で上演自体が危ぶまれる中、12月にE・イヨネスコ原作『Peste≠Peste/私たちが望むものは』に出演していただきました。2020年のコロナ禍は、俳優の活動への影響はいかがなものでしたか。

 予定していた公演がとんでしまいました。主催者の説明では「延期します」ということでした。でも、それがいつのことになるのか主催者も言えずに、宙に浮いている状況です。明日どうなるかわからないという感じで過ごしてきました。

---私生活の影響はいかがでしたか。

 観たい公演ががあったり、友人から観劇の誘いをいただいても観に行けていません。外出も控えています。アルバイト先も営業時間の縮小などで、シフトに入れなくなりました。手当てもありましたが、本当に微々たるものです。

---そのような中で今回も出演していただきありがとうございます。昨年、今回出演される赤松由美さんの企画した動画の配信「シェイクスピアのソネットを坪内逍遥の訳で読む」に参加されていましたね。

 あの企画には本当に救われました。自分で撮って自分で朗読したんですよ。表現する場があるということは、本当にありがたかったです。

---私も葉月さんの朗読を動画で見て、勇気づけられました。葉月さんや、私の好きな俳優たちが朗読している。確かにそこに存在している。企画した赤松さん、そして俳優の存在と意志を感じることができて、感激しました。今回の舞台も楽しみにしています。

 

赤松由美

劇団唐組出身。女優。ポーランド映画の巨匠、イエジー・スコリモフスキ監督の映画に出演すべく、個人事務所コニエレニを立ち上げて活動中。

朗読動画配信
「シェイクスピアのソネットを坪内逍遙の翻訳で読む」シリーズ

ポーランド・ワルシャワの人魚を秋川渓谷でさがす動画『ヴィスワ川の人魚』監督=赤松由美 主演=土屋真衣、山本啓介 撮影中!

今後の出演予定
2021年4月23-25、サイマル演劇団『吠える』板橋サブテレニアン。7月、新宿梁山泊『YEBI大王』ポーランド公演。8-9月八丈島で映画撮影(監督=下手大輔)。12月17日-19日劇団池の下『いわばアラスカ』劇場MOMO

---2020年の俳優としての活動について教えてください。

 劇団池の下の公演が中止になり、演目、出演者等を変え、再度企画した今年12月の作品に出演する予定です。
 また、新宿梁山泊のポーランド公演に参加する予定でしたが、海外渡航が難しいため延期になり、日本のテント公演に参加しました。また、下手大輔監督の映画にも八丈島での撮影に参加しました。

---予定していた公演が上演できない、大変な一年だったと思います。私生活の影響はいかがでしたか?

 アルバイトは休業して、休業手当をもらいながら家にいるという生活でした。これまでは稽古や観劇で飛び回っているような生活だったので、一人で家でじっとしている時間がとても貴重でした。
 ただ、家にいると「俳優としてのスキルが落ちてしまうのではないか」「これからどうなるんだろう」という焦りがありました。

---そのような中、動画の配信「シェイクスピアのソネットを坪内逍遥の翻訳で読む」をはじめたのですね。赤松さんや、私の好きな俳優さんたちの存在と意志を感じて、感激しました。

 はじめはルーマニアの劇場の企画で、シェイクスピアのソネットを世界各国の俳優が朗読して配信するものがあり、そこに参加したんです。「これはよい企画だ!」と思い、自分でも企画してみようと思いました。坪内逍遥さんが翻訳したシェイクスピアの作品があり、とても好きだったのです。自分で企画をたちあげて形にするのは大変でしたが、好評でした。まだソネットをすべて配信したわけではないので、今後も続けたい企画です。

---サイマル演劇団では『狂人と尼僧』に出演されて、稽古ではサブテレニアンを使っていただきましたが、今回、サブテレニアンでの公演に出演されるのははじめてですね。

 はい。観劇で来たことはありますが、出演するのははじめてですね。地下に入って、こういう劇場があるのは「いいな」と思います。クラクフで見た、バーの奥の扉をあけると広がっている、ポーランドの地下劇場を思い出します。唐組を出て、他の人の演出する作品に参加するのは原点に帰るような感触があり、楽しみです。

---ご自身が立ち上げたコニエレニという個人事務所で活動されているのですね。

 はい。コニエレニでは、現在『ヴィスワ川の人魚』という映像作品を製作しています。ポーランドのヴィスワ川を舞台にした作品で、自分で脚本を書きました。故郷の八丈島で撮影しようと思っていたのですが、緊急事態宣言に入ってしまったために、秋川渓谷で撮影しました。上映の際は、ぜひ見に来てください。

 

竹岡直紀

サブテレニアンにて演劇ユニット、ヘアピン倶楽部の旗揚げ公演に参加。
以降ヘアピン倶楽部やサブテレニアンで行われる板橋ビューネ、サイマル演劇団『狂人と尼僧』や唐組の公演などに参加。
今年新たな座組旗揚げに参加予定。団体名未定、12月公演予定。

---2020年の俳優としての活動について教えてください。

 神奈川県の企画「マグカルシアター2020」にヘアピン倶楽部として参加することになっていましたが、「マグカルシアター2021」として今年の11月に延期になりました。また、他にも出演依頼をいただいた劇団の公演が中止になったりもしています。

---私生活のほうはいかがでしたか。

自分も活動できないけど、世間も動いていないという不思議な時間でした。アルバイトは、中高年の方が休みをとった分、逆に忙しくなるという生活でした。ほとんど誰も乗っていない電車で自分だけはアルバイトに行くという生活でした。

---サブテレニアンでの公演には多数出演されていますね。

はい。ヘアピン倶楽部という劇団で何度も出演しました。いろいろと融通をきかせてもらって助かりました。僕は東京乾電池の養成所にいたんですが、その稽古場も地下にあるんですよ。割と似た雰囲気があります。ブラックボックスで、まったく光が入らなくて。不健全な感じが好きですね。ずっと稽古していて、外に出てみると太陽が明るく照っていて、「あれ」みたいな。

---性に合っているようなところがあるのでしょうか(笑)今回の舞台も楽しみにしています。

(聞き手 さたけれいこ)

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