« ことのはbox「班女」稽古場レポート05 | トップページ | ことのはbox「班女」稽古場レポート07 »

2020年10月 9日 (金)

ことのはbox「班女」稽古場レポート06

本日は予定通り 2 度の通しを行う。 日中の通しは「母音のみで台詞を発する」通しを行った。
昨日のレポートでも触れた、現状弱みになると思われる「発語」へのテコ入れだ。 三島由紀夫の台詞は美しい。読み物として字面を追ってもその美しさは感じにくいかと思 う。少なくとも自分はそうであったのだが、実際に役者が板の上に立って、脚本が立体化し た時にその美しさは鮮明に浮き彫りとなる。さすが三島由紀夫といったところか。 その「美しさ」を表現するには徹底した「発語」の精査は欠かせない。 あなたが小劇場のお芝居を観に行った時、どれだけの作品でどれだけの役者が正しく日本 語を発語出来ているだろうか、演出家はそれだけそこにアプローチをかけているだろうか、 また仮にされていなかったとして観客であるあなたはそれに気づけているだろうか。
もちろん、大半の人にとっては内容が最低限聞き取れて、話を追うことができれば十分なの かもしれないが、今回の『班女』のような作品ではそれだけでは足りない。 三島由紀夫の独特な台詞回し、言葉のチョイス、そういったものの美しさを申し分なく発揮 するには美しい日本語、正しい日本語が不可欠となる。 日本語は子音と母音の組み合わせで構成されているのは今更語るまでもないが、「発語の悪さ」は子音と母音のバランスに起因しているため、母音のみで台詞を発するというのは明瞭 かつ美しい発語へのアプローチとしては理にかなっている。
実際に本日は母音のみの通しをやってみたわけだが、やはり、というか、現状の「発語の甘さ」を如実に浮き彫りになったので、残り 1 週間で役者達が徹底して修正のためのアプロ ーチをかけてくれることを期待したい。
そしてもちろん、三島由紀夫の世界を表現するための「発語」でもあるが、そこに加えて今 回はコンクール。 通常の公演であれば、いい日もあり、悪い日もあり、はある種許容されるものではあるが、 今回のコンクールは当然ながら一発勝負。 正確性、再現性、完璧性が不可欠となってくるのだ。100 回やれば 100 回同じものが作れる ような Accuracy が求められる。 演出の酒井も普段はここまでのことは言わないが、今回ばかりはそこに注力をせねばなら ないので今日のようなアプローチとなった。
役者たちは困惑していたようだがこれが更なる飛躍に繋がることを願う。

加えて、母音で台詞発することにより、言葉や字面に囚われることなく、内面が浮き彫りに なる感覚は新しい体験として役者たちも感じることができたと思うので、それはその感覚 として、いい方向に持っていってもらえたらと思う。
毎日、やればやるほど発見と向上がある稽古なので全員で前を向いて最後の最後までしっ かり積み重ねていきたい。

演出助手 岡崎 良彦

« ことのはbox「班女」稽古場レポート05 | トップページ | ことのはbox「班女」稽古場レポート07 »

稽古場レポート」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« ことのはbox「班女」稽古場レポート05 | トップページ | ことのはbox「班女」稽古場レポート07 »