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2020年3月30日 (月)

ことのはbox 稽古場レポート14

本日は最終稽古。

この最終稽古というのは、演出家や座組みよって様々であると思う。
最後まで小返しをやる、通しを2回やる等々。
私のスケジューリングで多いのは、ダンスや歌や殺陣を念入りに返し、極限まで集中した通しを1回のみ、これが1番であると思っている。
完璧な間や形が出来ていても慣れというものは恐ろしいもので、まあ気にならない程度ではあるが、微妙な死に間が生まれるのだ。

今日の返しはそこを徹底的に潰して行った。
しかし今回私が指摘するのは遅いか早いかのみ。
台詞や形は入っているので、正しいテンポと間を繰り返す。
完成形が出来たら3回繰り返す、これは経験上自信があるのだが、3回連続で出来なければ体に入っていないと私は思っている。

今回指揮者を前にして演奏するシーンがあるのだが、今日は殺陣シーン以上に時間を費やした。
指揮者が客席を向き、演奏者は客席に背を向ける演出。
勿論指揮者役はプロではない、しかし芝居の1シーンとして入れ込む以上、クオリティは高めなければならない。
私もプロの指揮者ではないが、私なりのカッコいい形、タイミング、リズムを伝える。
この音の時は必ず手を広げて、3音聞いてから手を振り上げる等々。
一見簡単な様であるが、しかし動きながら喋りながらとなると非常に難しいのである。個人個人の癖もあるため、演出側が【まだ早い】【はいそこ!】と瞬間瞬間で指導しなければならない。

私は役者任せの演出というのは好きではない。
私にとっての最高の歌や演奏、最高芝居というものは、細かいディテールにも徹底的に拘る、それは精神力も体力も大量に使うが、そこの先にこそ芸術というものが存在すると思っている。
限界を越えた先にこそ感動が生まれるのだ。
役者2人を前に立たせ、そして向かい合わせる。
限界に近い空気椅子の態勢にし、3分間罵り合わせる。
リアルに罵り合うのではなく、最高潮のテンションと声量で罵り合わせる。

最初は勢いでいけるのだが、体力が落ちてくる2分を越えたあたりからは、足の苦痛とも戦いが始まる。
ここで疲労や苦痛に負ける役者は芸術ではない。
この苦痛しかない1分間を更に全力で走り抜ける、この先にあるものは感動であり芸術である。
今日は最後の通し前なので控えようかと思ったが、敢えてこの稽古を取り入れた。
楽チンな感動や芸術等ありえないという事を伝えたくて取り入れた。
しかし面白い効果があった、まあ私の狙い通りなのであるが、疲労は溜まっであろうに最高の通しが出来たのである。全員が限界に挑戦し続ける通しが出来たのだ。
決してアップではないメソッドであるから、小屋に入れば絶対にやらない、しかしこれから様々な事と戦う上で大切な事を教えてくれるメソッド。
最後に相応しい稽古、私は満足しかない時間を過ごす事が出来た。それは通し後の役者陣を見ても同じであったと思われる。

さあ明日からは小屋入り、この御時世ではあるが、これから起こる全ての事象に折れない勇気を持って挑みたいと思う。


箱TEAM演出 山崎亨太

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