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2020年3月

2020年3月30日 (月)

ことのはbox 稽古場レポート14

本日は最終稽古。

この最終稽古というのは、演出家や座組みよって様々であると思う。
最後まで小返しをやる、通しを2回やる等々。
私のスケジューリングで多いのは、ダンスや歌や殺陣を念入りに返し、極限まで集中した通しを1回のみ、これが1番であると思っている。
完璧な間や形が出来ていても慣れというものは恐ろしいもので、まあ気にならない程度ではあるが、微妙な死に間が生まれるのだ。

今日の返しはそこを徹底的に潰して行った。
しかし今回私が指摘するのは遅いか早いかのみ。
台詞や形は入っているので、正しいテンポと間を繰り返す。
完成形が出来たら3回繰り返す、これは経験上自信があるのだが、3回連続で出来なければ体に入っていないと私は思っている。

今回指揮者を前にして演奏するシーンがあるのだが、今日は殺陣シーン以上に時間を費やした。
指揮者が客席を向き、演奏者は客席に背を向ける演出。
勿論指揮者役はプロではない、しかし芝居の1シーンとして入れ込む以上、クオリティは高めなければならない。
私もプロの指揮者ではないが、私なりのカッコいい形、タイミング、リズムを伝える。
この音の時は必ず手を広げて、3音聞いてから手を振り上げる等々。
一見簡単な様であるが、しかし動きながら喋りながらとなると非常に難しいのである。個人個人の癖もあるため、演出側が【まだ早い】【はいそこ!】と瞬間瞬間で指導しなければならない。

私は役者任せの演出というのは好きではない。
私にとっての最高の歌や演奏、最高芝居というものは、細かいディテールにも徹底的に拘る、それは精神力も体力も大量に使うが、そこの先にこそ芸術というものが存在すると思っている。
限界を越えた先にこそ感動が生まれるのだ。
役者2人を前に立たせ、そして向かい合わせる。
限界に近い空気椅子の態勢にし、3分間罵り合わせる。
リアルに罵り合うのではなく、最高潮のテンションと声量で罵り合わせる。

最初は勢いでいけるのだが、体力が落ちてくる2分を越えたあたりからは、足の苦痛とも戦いが始まる。
ここで疲労や苦痛に負ける役者は芸術ではない。
この苦痛しかない1分間を更に全力で走り抜ける、この先にあるものは感動であり芸術である。
今日は最後の通し前なので控えようかと思ったが、敢えてこの稽古を取り入れた。
楽チンな感動や芸術等ありえないという事を伝えたくて取り入れた。
しかし面白い効果があった、まあ私の狙い通りなのであるが、疲労は溜まっであろうに最高の通しが出来たのである。全員が限界に挑戦し続ける通しが出来たのだ。
決してアップではないメソッドであるから、小屋に入れば絶対にやらない、しかしこれから様々な事と戦う上で大切な事を教えてくれるメソッド。
最後に相応しい稽古、私は満足しかない時間を過ごす事が出来た。それは通し後の役者陣を見ても同じであったと思われる。

さあ明日からは小屋入り、この御時世ではあるが、これから起こる全ての事象に折れない勇気を持って挑みたいと思う。


箱TEAM演出 山崎亨太

2020年3月29日 (日)

ことのはbox 稽古場レポート13

本日も通しを行った。
始まる前の役者雰囲気も良好だ。

そんな中、役者に個別にこうしてみてほしい、こうしたらどうだろう、みたいなことをこっそり伝える。
以前にも触れたが、私の演出はとにかく変わる。小屋入り前日だろうが、ゲネだろうが、変わる。より良いと思ったもの、より役者が輝くと思ったものは制約の中で可能な限り盛り込んでやりたい。

そんな言い方をすると大半の人には雑な演出なのかと聞こえるだろうが、別に本番芝居が好きなわけではない。むしろ大嫌いであるが、枠組みの中で生まれる新しいものには敏感で、貪欲でありたいと思っている。役者にも、板の上ではもっともっと自由でいて欲しい。生活に追われ、時間に追われ現代を生きながら、役者をやろうなんて稀有な存在の集まりなのだから、舞台上ぐらいはそんな日常のあれこれを忘れて自由にやってほしい。

集中稽古に入るまでに、この作品の幹となるものは伝えた。その幹から枝を伸ばして花を、葉をつけていくのは役者だと思っている。幹にさえ寄り添って居てくれればどこにどう枝を伸ばしてもらっても構わない。
そこに当て木をして方向を定めたり、末端の枝葉を剪定していくのが私の役目だ。

もちろん、自分にも観たい絵、欲しい絵はある。そのように人を配置し、動かすわけだが、それよりも役者の役としての心の動きを優先してやりたいというのが本音だ。
ここで動きたい、ここでこうしたい気持ちになる、だとかいったものは極力叶えてやりたいと思う。もちろん、客席から観てくださるお客様がいる以上、全てを叶えることは不可能だ。だが自分はお客様は役者のそういった心の機微や表情といったものを観に来てくれていると思うのでそこは私にとって譲れない部分なのだ。

私はエンターテイメント性のある演劇をを創りたい訳ではない。もちろん、そういった演劇を観るのはとても好きだが、自分が創りたいと思えるのは「アート」としての演劇なのだ。
「アート」とは、「芸術」とは何か。創り手が心を揺さぶられながら創った作品を観たお客様が、また同じように心を揺さぶられるという、コミュニケーションだと思っている。

だからこそ自分が演出家としてかける言葉などひとつの「ガイド」として、ブロッキングや言い回しに囚われて心が動かないぐらいならそんなもの取っ払ってしまえと思ってしまうのだ。

長々と書き連ねてきたが、本日の通しは及第点。通し中に取ったノートにもまた新たな要望だったりがチラホラ。
余談だが私は「ダメ出し」という単語が嫌いなので「ノートを出す」という表現を徹底して使っている。芝居をするのに「こっちがいい」はあっても「これはダメ」はないと思っているからだ。

明日はついに最後の通し、最後の稽古となる。
どんな通しを見せてくれるのか、とても楽しみだ。

葉チーム演出 岡崎良彦

ことのはbox 稽古場レポート12

私は今まで様々な舞台を観て来た。
静かなもの、派手なもの、シリアスからコメディまで様々な舞台を観て来た。
世界を広げるため、役者としてもジャンルに囚われずに出演してきた。

その経験から辿り着いたのがスピード&パワーの演出である。

パワーは比較的伝えやすいのだが、スピードの方は慣れていない人には大変難しい。

私生活での会話スピードは、私にとっての演出では遅い。リアルじゃないと言われたらリアルじゃないかもしれない。全てのシーンでは無いが、例えば5人の台詞の応酬が、まるで1人の台詞かの様に聞こえるスピードと間で入ること、私の演出ではこの部分を非常に大切にしている。

前の人の台詞の2文字前に被せる、これを施す事によって全ての台詞が繋がってくる。

今回の芝居でも頭からトップスピードで会話を行わせており、そこから一気にパッション溢れるダンスに繋げている。

今回の演出においてこの最初の10分は非常に大切なのだ。

徐々に引き込ませる演出ではなく、最初の10分で先ず引き込む。

トップスピードの会話、最初は理解出来ないかもしれない。私も早い会話劇の芝居を観ると最初はついていけなかったりする、しかし5〜10分経つと耳がスピードに慣れてくる、更に練られたスピードならば逆に心地良くなるのである。

この耳慣れがあるからこそ、引き込みがあるからこそ、間がより効果的になってくるのだ。

頭が動、その次は静、動ばかりでは御客様を置いていってしまうため、このバランスと配分には緻密な計算と狙いが必要になってくる。だからこそ私は早めにパッケージされたものを作り上げる様にしている。早めに作る事により、その配分とバランスにおいても演出が出来るのである。

今作も本番2週間前にはパッケージされたものを作る事が出来たため、本日も細かい手直しをする事が出来た。

まだスピードに追われる役者がいたため、先ずはリズムを伝える。

4人の台詞の応酬なのだが、トントントントントン、、、ポンと言った具合だ。

先ずはそのリズムの叩き込み、それが出来たら意味と狙いを伝える。何故ここまでトントントントンといきたいのか、何故間を空けてポンなのか、それによって次に喋る役者が活きるから等である。

感情のみで芝居しても御客様には何も伝わらない、感情が大切なのは解るが、心地良いリズム、間があってこそ伝わるのだ。

平均して5回の反復が必要となるのだが、小返しだと出来ても、いざ通しとなると若干遅れたり、台詞が雑になったりする。まあこれについては自主練の少なさ+経験値の差があっありするので、残り2日であるが役者には最後まで戦ってもらいたい。

しかしそれもこれも最初のトップスピードの演出、派手な引き込みがあるからこそ活きてくる。

役者同士だけではない、役者と演出とスタッフだけではない、私の演出というのは各シーンの活かし合いなのだ。やりたいシーンだけを入れ込む演出なら誰でも出来たりする。このやりたいシーンを最大限に活かすためにするのが演出なのだ。今作もやりたいシーンを全てに注いでいる、それを活かし合うためのスピードと間も演出した。

今作はスピードとパワー溢れる最初の10分、その引き込みからラスト迄の流れを観て頂きたい。皆でゴールまで一直線に走っていく、そんな爽快感を感じて頂けたら幸いです。

箱TEAM演出 山崎亨太

2020年3月27日 (金)

ことのはbox 稽古場レポート11

今日は通しをするか悩んだが小返しに時間を割くことにした。
明日からは最終日まで通しをやるので最後の小返しだ。

と、その前に私が仕切ってリラックスとストレッチの時間を取った。
根を詰めるのも大事だが、稽古が佳境となるこの時期にこういうゆったりとした時間を敢えて「全体で」持つことにはとても意義があると思っている。
簡単なストレッチから、コンタプロビゼーション(モダン・コンテンポラリーダンスにおいて他者と身体を触れ合うことで即興で創作していくダンス)の基礎を用いてリラックスを図る。
この他者に触れる、他者の体温を感じる、というのは座組みとして心の距離を寄せるには非常に手っ取り早い。
稽古初期にするのは(特に日本人には)抵抗があるだろうから敢えてこの時期にやってみることで再度お互いを肌で感じ合うことには意味があると思っている。
他人に触れた状態でリラックスする、というのは実は普通の人間の感覚ではとても難易度の高いことで、それができる状態というのはお互いの信頼などがないと出来ないのだ。
本当はもう少し時間を割いてやりたかったがそうもいかないので、みんなの表情が柔らかくなったことを確認して切り上げ、稽古に入っていく。

気になる部分、刷新した部分などを中心にやっていくのだが、この固定稽古場に入ってから、役者から稽古内外問わず声をかけられることがグッと増えた。
「もっとこうしてみたい」だとか「こうしてみるのはどうだろう」だとか。
演出をやっていて嬉しい瞬間だ。
私は役者自身から、役者同士のやり取りから生まれてくるものは、作品の調和を乱さない限り取り入れてやりたいなと思うし、役者のやりたいこともその制約の中で可能な限り叶えてやりたいと思っている。
そのために頭を抱えてる時が実はとても楽しい。

また声をかけてこそこないものの返すたびに何か新しいことを表現しようとしてくれる役者もいる。
実は先日小返しのときにその役者達には「もっと自由になっていいよ」と言ったのだ。
もちろん、その自由が作品という額縁に収まるように手綱は私が引いてやらねばならないのだが、こんな一言でそうも変わってくれるのだから役者というのは見ていて飽きない。
個々の役者によって何がきっかけになるかわからないので役者にかける言葉選びなどももっと引き出しを持たねばならないな、と逆に勉強させられる。

そんなこんなであっという間に時間は流れる。今日の稽古も終了だ。
10分15分ほどだが退室まで時間があったのだが役者通しが話し合いや確認をしている。みんな前を向き続けていてくれていることがとても嬉しい。

残り3回の通し、観に来てくださるお客様のために、精一杯努めていきたい。

葉チーム演出 岡崎良彦

2020年3月26日 (木)

ことのはbox 稽古場レポート10

3月25日(水曜日)

本日は稽古開始から通算3度目の通し。
自分は演出家サイドから気合入れや円陣なんかを促したりするタイプではないのだが、開始の時間が近付くと今回の座長から声が上がり、役者たちが自発的に円陣を組んでいた。
なんとも嬉しい光景ではないか。こっそり、にやけ顔でその様子を眺める。

そしてあっという間に通し開始、そして終了。
所感としては、円陣を組むまでの空気感や皆の様子を見ていて正直少しだけ不安だったのだが、どうやらあれは静かな闘志だったようで(役者というのは面白いものだ)、3回の中では一番良い通しであった。
細かいところに目をやればミスなんかもあったものの、作品全体の雰囲気などを考えればかなり「作品らしさ・座組みらしさ」がでてきていると感じられる通しであった。
しかしまだまだここから。ここからもう1段階、2段階。

皆に通しに対するノートを出し終えると、修正箇所等の確認をする。
そうしているとあっという間に稽古場を明け渡す時間に。

残り少ない稽古日数を大切にして、更なる高みを目指していきたい。

葉チーム演出 岡崎良彦

 


3月25日(水)

今日から音響さんが入ってくださるので、先ずはテクニカルな部分の合わせを行う。

私が演出をする場合の考え方なのだが、演出がラフを描き、役者が下書きをし、スタッフさんが色付けをして一つの絵が完成する。

自分の描いた絵に様々な色付けがされていく。

これは高揚感、感動、感謝、、、様々な思いが湧き起こる。

そのため今日は止め通しをしたのだが、役者陣は集中して臨んでくれた。これは役者陣にも感謝である。

やはり音楽の力は偉大である、僕は子供なのだろうか、音や音楽が入ると声が漏れるぐらいの興奮をしてしまう。

ここに舞台監督さんや舞台美術さんの作り上げたセット、照明さんが生み出す光が加わる、今日はワクワクが止まらなかった。

明日は通しが出来たら嬉しく思う。

大変な御時世であるが、私は目の前にある事に全力で向き合い、ひたすら魂を燃やして頑張ろうと思います。

箱TEAM演出 山崎亨太

2020年3月25日 (水)

ことのはbox 稽古場レポート9

3月24日(火)

本日から葉チームは昼のみの稽古。
本日も入念な小返しをしていく。相変わらずの止めながら流していくスタイルだ。
だが今日は特に弱い・足りないと感じていた箇所、停滞していた要素に再び息を吹き込むことを意識して時間を使った。

何度も書いてはいるが、全体のバランスというものが特に必要になってくる作品であるため、どこが飛び出てもいけないし、どこが弱すぎてもいけない。
本来的には全てが突き抜けていてほしいところであるが、その辺りのバランスを取っていくのが私の役目だ。

「弱い・足りない」と感じている箇所は発破をかけたり、身体的に無理やりに上げてやることで解決することはあるのだが、停滞しているものを再度動かし、新しく息を吹き込むというのは役者の意識や考えに干渉していかねばならないので難しい。
特にこの時期であるので、役者が混乱しないように最新の注意を払わねばならない。
だが、作品をよくするためにでき得る限りのことをしたいし、掛けられる限りの言葉をかけて力になってやりたい。
結果として今日役者達にかけた言葉や、稽古でやっていったことはプラスになったのではないかと感じれる返し稽古になったと見受けられた。

全ては見に来てくださるお客様のために。
稽古最終日までこのメンバーで足掻き続けようじゃないか。

葉チーム演出 岡崎良彦

 


3月24日(火)

本日から追い込み稽古が始まった。

と言っても稽古時間は4時間しかない、一分一秒がより大切になってくる。

今日は通しをやる予定は無かったのだが、急遽通しをやるプランに変更。台詞の部分は完結に伝え、その代わりダンスや殺陣返しを念入りに行った。

この時期になるとやはり疲れや慣れが出てくるため、ズレている箇所は勿論、ストップムーブ等もしっかり見極めていかなければならない。

そんなこんなで時間はどんどん過ぎ去る、あっという間に通し開始時間が迫ってくる。

皆に気合入れをしたのだが、皆やはり本番モードの顔になってきた、この瞬間は演出家として身震いする事の一つ。

通しの感想はと言えば、やはり前回の良かった通しをなぞっているせいか、新鮮さというかパワーが足りない。表現は生物と言うが、プロとして舞台に立つ以上、私達は毎回新鮮で最高な世界を表現しなければならない。

明日からは音響さんが来てくださる。
テクニカルな部分も含め、より良くするために力を合わせて作り上げたい。

明日も魂を燃やして闘いたいと思う。

箱TEAM演出 山崎亨太

2020年3月24日 (火)

ことのはbox 稽古場レポート8

本日が丸一日使えるのは最後の日だ。
本日も小返しを入念に進めていくことから始めていく。
先日手をつけられなかったシーンを中心にしながら、音響・照明との打ち合わせで改める必要ができたシーンの修正などもしていく。
小返しをしながら具体的な音響や照明のイメージを伝えてやる。
劇場入りするまで音響や照明の具体的なイメージを伝えられない座組みもいるだろうが、私はそういったことを伝えてやるのは役者が世界観を感じながら演じるためにはとても重要だと思っているし、役としてそこに立っているときの外的要因として時には演じる為の手助けになると思っている。

特に環境音は今自分がどんな場所、どういう状況でそこにいるのかを感じ取れる大事な要素のひとつであるし、照明も時間経過を表現していく上で大事なファクターだ。
今日そういったことを伝えたことで役者のイメージがさらに膨らみ、明日以降の芝居に良い影響が出ることを望む。

稽古後半は、冒頭から最後までを止めながらではあるが流していく。
小返しももちろん大事ではあるのだが、全体の流れをみながら調整をかけていき、作品全体を役者が肌で感じることは重要だ。一つのシーンで生まれるものはそのシーンだけのものではなく、作品全体を通して役に、作品に影響を及ぼす。
小返しを繰り返しているとそういったことが繋がらなくなってきて、作品全体がちぐはぐになっていくのだ。
冒頭最初の一言から、ラストシーンの最後の一言までしっかりとバトンを繋いでいくこと。当たり前のように聞こえるがこれが非常に難しい。
そのためには役者全員が同じ方向をむいていなければならないし、歩みが揃ってなければならない。
作品を読んで、理解をしていたとしても実際に板の上に立つとそれが疎かになることもある。あってはいけないが、あるのだ。だから止めながらとはいえ、冒頭から最後まで流していくことはとても大事で、座組みとして、個々の役として、作品を紡いでいくための肌感覚は小返しではなくこういう稽古で養われるものだと思っている。

明日からは半日稽古。残り少ない稽古日数を大事に過ごし、最後まで全員で死力を尽くしていきたい。

葉チーム演出 岡崎良彦

2020年3月23日 (月)

ことのはbox 稽古場レポート7

本日は長時間稽古が出来る最後の日。
夜に通しをやる事は決めていたため、それまでは念入りに小返し。しかし全てではなく、埋まって無いシーンを中心にブラッシュアップ。

今回のレポートは殺陣シーンをつける上で大切にしている事を書こうと思う。

相手を生かす剱を振る。
戦いと生死を表現する殺陣においてとても矛盾する言葉であるが、殺陣が表現というものの中にある限り、この言葉は表現の全てに言える事だと考えている。

では殺陣に最も必要な要素とは何か?
信頼関係とコミュニケーションこの2点だ。
技の上手い下手、派手な衣装などは二の次であり、大切なことは一つの立回りの中にあって、人数に関わらず相手と呼吸を合わせコミュニケーションを繋ぎ続けるということ。

今回の作品では立回りというよりはコメディタッチの戦闘シーン。言ってしまえばケンカコントの要素が強い。
では実際に剱を振らないから簡単なのかと言えば真逆だと捉えている。
剱を用いた立回りならば、結果は勝ち負け(生死)であるが、今回は真剣にやりながら誰も死なず、お客様から笑いを誘引しなくてはならないからだ。

最も注力したのは人間関係を取り入れるということ。

単なる手のやり取りではなくストーリーでなければいけない。
というのが立ち回りを作る基本なのだ。
呼吸を繋ぎ続けるために手と手の間にある芝居を特に意識して振り付けをする。
立ち回りを付ける時の注意点を全体にも説明し、動きを示し、意図を伝え、イメージを共有していくことに重きを置く。

ふと時計を見ると通し開始時間、集中している時の時間というのは本当に早い。

今回の通しの感想はと言えば、今迄で一番の出来であった。

細かなミス、荒いシーンは未だ見受けられるが、見せたいポイントのみで言えば非常に良い通しとなった。

やっとスタートが切れた、そんな気持ちである。

今世界中が大変な情勢であるが、私は命ある限り表現者でいる事に感謝し続けたい。

次回も魂を燃やして臨まなければ。

箱TEAM演出 山崎亨太

2020年3月22日 (日)

ことのはbox 稽古場レポート6

葉チーム、集中稽古3日目。
本日も日中の時間は返し稽古に充てる。先日カバーしきれなかったシーンを中心に返していく。

細かい動きの修正や、言い回しなどを中心に進めていく。この本番が近いタイミングでも、「あっちがいいか、いやこちらの方がいいか」だとか「こいつは面白い」といった気づきや発見が日々生まれ、その度に考えを巡らせてより良い方向にもっていけるよう試行錯誤を繰り返すことが出来るというのは大変喜ばしいことである。

小返しをしたシーン達の中心人物達に今日強く伝えたかったのは芝居で「疲れる」こと。もちろんこれは何も動きが多いからとかセリフが多いから疲れる、などということではなくて舞台上で「生きる」ということ、人が「生きる」ということはとてもエネルギーが必要なのだということだ。
特に若い役者には多いかとは思うのだが、芝居をするときに気を抜くと「自分のペース」みたいなものに落ち着いてしまってそこで芝居をしてしまうというパターンというのはよくあることで、この意識を変えてやらねば舞台上で本気で生き、「疲れる」には至らない。
その感覚を役者の身体に覚えさせてやれるように進めていった返し稽古であった。

すると案の定、というか思惑通りというか、小返しの後の小休止で床に疲労困憊で倒れ込む役者が数名。思わず顔がニヤけてしまう。一度その感覚を肌で感じてもらえれば、あとは自分でその状態を作る手段を講じるだけだ。今日の感覚をしっかり覚えていてくれたら心配はいらないだろう。

本日は通しをせねばならなかったので、その他細かい確認事項等々を潰していく。
スタッフの皆さんにこちらの意図を伝えるのに、取りこぼしがないよう一つ一つ確認し、情報をクリーンにしていく。

少し休憩を取り、通しの時間となる。
皆の緊張が伝わってくるが、私もひどく緊張していた。スタッフさん達は職人としてこの作品を見てくれているのと同時に最初のお客様でもあるのだ。
大きな事故のようなものはなく、淀みなく通しを無事終えることが出来たが、新たな改善点・課題点も見えた。
くだらないミスも多く、緊張があったとはいえ小返しで出来ていることが発揮仕切れていなかった部分が多かったのは今後の稽古で修正していかねばならない。そうして打率をあげていく作業もこれから必要だ。

通しの後はスタッフさんと打ち合わせ。自分のプランを伝え、それを叶えようと試行錯誤してくださるスタッフの皆さん。とても幸せな時間だ。
自分のプランとスタッフの皆さんからの提案を摺り合わせる。とてもステキな世界観を構築できそうなことに心が躍る。
音響照明の兼ね合いで修正していく部分もこれから稽古で洗わなければならない。

やらねばならないことは尽きないが、それだけ高みを目指せるということなのでさらなる向上を目指して今後この座組みを導いていきたい。

葉チーム演出 岡崎 良彦

2020年3月21日 (土)

ことのはbox 稽古場レポート5

私は開始30分前に到着したのだが、もう何人かの役者が自主練をしていた。これは演出家として非常に嬉しい事である。私は熱くがむしゃらな表現者が好きなのだ。

他の役者陣も定時前には全員到着、今日は先ずダンス返しと殺陣返しから入った。

変更点を伝えつつ、改善点を見直しつつ、より良くするための演出をしていく。

これは振り付け師や殺陣師との兼ね合いもあるのだが、私なりの提示はしっかりしなければならない。振り付け師と殺陣師のプランや意図を汲みながら構築する事が大切なのだ。

これは時間がかかる作業ではあるが、お互いの世界が噛み合った時の感動は未だに変わらない。身体が震える程の感情が湧き起こる。因みに私は今回の振り付け師と殺陣師は大好きだ。この2人は今回役者としても出演しているのだが、2人のダンスと殺陣には注目して頂きたい。

1時間半のダンス練と殺陣練が終わったら頭からのシーン返し。先日の様な細かい演出や指導ではなく、長めのシーン返しを行った。

これは完成に近付いているシーンとまだまだなシーンが存在しているため、統一感を作るためにも長めのシーン返しは非常に大切なのである。

この本番迄10日を切ってくると、演出家によって稽古場のスケジューリングはより大きく変わってくるのだ。

ひたすら通しをやる、ひたすらシーン返しをする、他にも色々あるが、これは演出家によって大きく異なる。

因みに私は早めに完成形を作り、そしてギリギリまでそれを良くするために足掻く、通しは毎日では無く必要に応じて行う。このスケジューリングは、どの団体から演出を頼まれても変わらない。これはある意味、私の演出家としてのやり方であるのだろう。

シーン返しは非常に時間がかかる、あっという間にスタッフさんが到着される時間になった。通しを始めなければならない。

私は演出家としてスタッフさんの前でやる通しは非常に身が引き締まる、これは役者として舞台に立つ時のモノとは全く違う、質の違う緊張感と責任感というか、うまく例えるのは難しいのだが。

そして19時になり通しが始まった。

全体的に大きなミスは無いが、まだまだ細かいミスが目立つ、これは残りの稽古で改善しなければならない。

通し後はスタッフさん達と打ち合わせ、スタッフさんは更なる素敵な世界を私に与えてくれる。

次回も一表現者として熱い魂で臨みたいと思う。

箱チーム演出 山崎亨太

2020年3月20日 (金)

ことのはbox 稽古場レポート4

本日、葉チームも集中稽古2日目を迎えた。

本日の稽古内容はひたすらに小返しを繰り返した。
より繊細で、より上質な感情の機微を拾い上げ、それをモノにしていく作業。
個々のシーン毎は元より、それがこの戯曲の初めから最後まで繋がるように調整を重ねていく。
抜き稽古を繰り返していくと、シーン毎ではよく見えてきたとしても、それが「そのシーンの出来事」として完結してしまうのは役者が陥りやすい現象であると思うので、度々基本に立ち返り、戯曲そのものを一歩引いたところから全体像を捉えながら稽古を進めていくことは大事だと思っている。
戯曲全体という大局を常に念頭に置きながら各々のシーンを組み上げてゆく、一見基本中の基本だと誰もが思うことではあるが、抜き稽古やシーン稽古を繰り返していくとこれが見えなくなってしまう役者は少なくであろうと思う。
故に、時にはそれを導いてあげるのも演出の仕事の一つであると思っている。

また、本日の稽古ではフィジカル面での指摘も多く行った。
無駄を省き、共演者にも、そしてお客さんにもシンプルに言葉を届けるためには役者自身の身体への意識を高めてあげることは非常に大事なことである。
台詞を届けるときに「無駄」となるものは極力削ぎ落としてやる。
役者本人の動きの癖、緊張したときに出る癖、そういったフィジカル面での無駄を省いてやることで言葉はよりシンプルに、ストレートに伝わっていく。
そんなシンプルなやり取りが会話劇で重要だろう。

さらに、この戯曲において最も張り詰めた空気を持つ(と思っている)シーンを抜いて稽古をしたが、このシーンは本当に難しい。
嘘の無いように、心も身体も本気で揺さぶられなければ成立させることのできないであろうシーン。
実は一発目にやってみたときの第一声が一番良かったと感じた。が、それでもまだ足りないと感じているので役者の内側から湧いて出るものを引き出し、舞台上に乗せてあげられようにこれからうまく導いてやりたいと思う。
しかしながら、光明は見えていると思うので辛抱強く役者に寄り添っていきたい。

次回の稽古では音響・照明・舞台監督の見学を交えての通しとなる。
役者それぞれが、良い状態で通しを迎えられることと、何か得るもののある有意義な通しになるよう努めていきたい。

葉チーム演出 岡崎良彦

2020年3月19日 (木)

ことのはbox 稽古場レポート3

本日は固定稽古場2回目。

前回は音響さんの前での初通し、音楽や環境音等のプランがより明確になってきたのもあり、本日は小返しを中心に稽古をしました。

主にテンポやリズム、間を開ける意味等を役者陣に叩き込ませた。
それは口や耳だけでなく、身体全身に染み込ませなければならない。
そのためにリズムを崩したら頭から、間を間違えたら頭から、正確なリズムと間をひたすら反復をする。

何とか間とリズムは正解まで辿り着いたが、ここから更に言い回しや語尾の使い方等を伝える作業に入らなければならない。この作業は非常に大変なのである。

人間は個々に会話のリズムやスピードが違うのもあり、これを全役者で統一させるのは非常に難しいのだ。キャリア組に関しては対応力があるのだが、そうで無い役者に関してはリズムに追われるばかりで台詞が死んでしまうのである、シーンが死んでしまうのである。

しかしこれを生かすのは演出の仕事の一つ、生かすも殺すも演出次第であると私は思う。そして横内さんの脚本は非常に面白い、やはり様々な座組みで再演されてきているのには理由があるのだ。だからこそ最大限のリスペクトを持ちつつ、私なりのジプシーを創り上げたい。

私はスピードとパワー、そして統一感を演出テーマに掲げている。この上質で繊細な言葉の紡ぎと世界観は、きっとストレートに演出しても成立すると思う。しかしそれでは私が演出で入る意味が無い。私とスタッフさんは勿論、私と役者陣のイメージ共有、役者同士のイメージ共有は必須である。だからこそ今日はひたすら反復したのである。スピードとパワーだけでなく、統一感を体現するためには反復しかないのだ。私の演出には鬼反復が必要不可欠なのである。次回は舞台監督さんと照明さんが通しを観にこられる。だからこそ今日は通しを行わず、反復に9時間を費やした。スタッフさん達に私の世界観を伝えるために使った1日。役者陣に世界観を伝えるために使った1日。役者陣をより光輝かせるために使った1日。

今日の稽古が次回に繋がる事を切に願う。

箱TEAM演出 山崎亨太

2020年3月18日 (水)

ことのはbox 稽古場レポート2

Team葉

今日から集中稽古に入り、初めて衣装や小道具を使っての稽古だった。

稽古に入る前に衣装合わせをした。今日初めて衣装を着たが、それぞれ役の衣装を見ると、よりその役をイメージしやすくなった。
また、ジプシーの衣装は統一感があり、夫婦や現場の人たちとの違いもある。ジプシーと夫婦、現場の人たちの間には、生き方、考え方、感じ方、様々なことにおいて違いがある。
衣装を着てみて、この違いやジプシーの家族としての統一感、絆をより見せなくてはならないと感じた。

衣装合わせの後は、稽古着に着替え、小道具を使ってのシーン稽古を行った。
小道具が入ると、それぞれのシーンがさらに明確になり、それに伴って新たな課題や問題点もてできた。
私の場合は赤ちゃんを抱く役なので、今日1日のほとんどは赤ちゃんの人形を抱いていた。今までの稽古では代わりのものを使っていたため、抱き方や渡し方、おしめの変え方などまだまだ練習しなければならない課題が出てきた。
今回の座組では、母親を経験した方や赤ちゃんの扱いに慣れている方が何人かいたため、今日はその方々に赤ちゃんの扱いについて教えてもらった。
私は今まで赤ちゃんをお世話すると言う経験がなかったため、人形ではあるが実際に赤ちゃんを抱いてみて知ることがたくさんあった。
赤ちゃんの重みだったり、腕の回し方、そして赤ちゃんを抱いてるだけで感じる腕の疲労感など、今日感じたことを忘れず、本番までに慣れていこうと思う。

全体としては、乱闘シーンで実際にスコップやツルハシなどを使ってやってみると危険な場面があった。
これからの稽古では、乱闘シーンを繰り返し合わせること、また、家族が歌う歌、楽器の演奏のシーンもまだまだ練習をする必要がある。
歌に関してはみんなが正確に歌うことに精一杯になり、楽しんで歌えてないので、これからの稽古で何度も合わせて、コミュニケーションをとりながら、楽しんで歌えるようにしていきたい。


ことのはbox劇団員 栗田真衣

2020年3月17日 (火)

ことのはbox 稽古場レポート1

本日からことのはbox第13回公演「ジプシー~千の輪の切り株の上の物語」チーム箱の集中稽古が始まりました。


記念すべき集中稽古1日目は、まず最初に各々のキャストの衣装合わせから始まりました。これは座組の意識の擦り合わせも凄く高まりますし、何よりテンションが上がります。衣装だけでなく、小道具や実際に衣装合わせで見てみた感じと違う案が出てきたらその時点でまた練り直します。衣装を着てみて、実際に想定していた動きが出来るのかどうかもそこで確かめます。そうして稽古だけでなく色々な事柄を経て舞台が創られていくのです。


衣装合わせが終わると通常稽古で出来なかった殺陣付けをしていきました。
「ジプシー」にはいくつか殺陣のシーンがありその中でも物語の後半に繋がっていく重要なシーンの殺陣付けです。殺陣の出来によって芝居全体の締まり方が変わってくると言っても過言ではないので、皆真剣に取り組みます。殺陣の基本は、「怪我をしない怪我をさせない」なので、細心の注意を持って取り組みます。そうした心掛けで殺陣付けが行われていきます。
殺陣付けが終わると、早速その部分を含めた全体の殺陣シーンの小返しをしていきます。前からやっていた部分の殺陣はしっかりと、さっき付けた部分の殺陣は自分が想定していた様に出来ているかどうか確かめながら進んでいきます。全体を殺陣師の方に見てもらい形になっているかどうかを確かめ修正していきます。


そうした殺陣を含めたシーンの小返しが終わると、ダンスの稽古です。「ジプシー」では、オープニングが終わったらダンスのシーンがあるのです。ダンスシーンも芝居の流れを決めるとても大事なシーンになりますので、繰り返し行います。ダンスはお客様にこの舞台の方向性を意思表示する場面でもあると思います。特に今回の場合、演出家が2名いて違うキャストでやる珍しい形をとっての公演となります。もう一方のチームとの差別化を計る上でもかなり重要なシーンとなります。


ダンスシーンの稽古が終わると、休憩をとり休憩をとり終えるとひたすら足りない部分の小返しに入ります。小返しが一通り終わると、ここで全稽古通して初めての通し、つまりお芝居を一度も止めず最初から最後まで通して演じます。通しをする事が急に決まったので稽古場に緊張が走ります。この時点では当然本決まりではない音楽や照明のタイミングなども後程決まりますので、それらの切っ掛けも意識しながら演じます。
全て通し終わると、所感つまり感想や手直しが必要な部分を伝える作業、通称ダメ出しに入ります。これを聞いてそれを踏まえて次回の稽古に臨みます。


以上が本日の稽古内容になります。全体を通しての感想ですが、予定してない通しまで出来た事を考えると有意義に進んだ稽古だったのではないかと思います。当然足らない部分は山程あるし、今日初めて付けた殺陣のシーンもあります。残り少ない稽古日数とはなりますが最後までより良く最良の作品となる様に作っていきたいと思います。


ことのはbox劇団員 佐藤ケンタ

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