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2019年6月

2019年6月 7日 (金)

ニクバナレ第 1 回公演「今⽇、きみがいない」(6⽉12⽇~6⽉16⽇ 中野ウエストエンド)稽古場レポート04

稽古場最終日。申し上げた通り、昨日当たれなかった場の転換確認したうえで、通し稽古いたしました。
初回通しなので荒い部分は目立ちましたが、方向性を再確認し、また今後の課題も見つかる良質な通しだったと思います。現況で揃っている道具なども使用し、慣れもだいぶ見え始めました。
演出という仕事において、「ここで笑わせてほしい」「ここで泣かせたい」という観客を操作するような言葉は使わないように心がけています。僕自身、何かに対し感動することはありますが、誰に対してもその共感を強要できませんし、またその感動は誰にも邪魔できません。それは観客の立場でも同様ですので、演出として役者に「共感させる」内容を指示するということは傲慢であり、「そう思ってほしい」という押し付けがましい印象を与える恐れがあるからです。今回、会話劇であることは申し上げましたが、そこにあたかも偶発的に起きてしまった事件として見られないのであれば、会話劇の楽しみは半減してしまいます。脚本が存在する以上、そこには確かに既存の筋道があり、それをなぞる作業になってしまいがちですが、あらゆる可能性の中で、それが起こってしまった必然性を探すことを怠けてはいけません。それが全て偶然起こった事件として観客が目撃した時に、感動や笑いが生まれると信じています。もし、観客の反応を求めるのであれば、脚本の可能性の中で、その筋道を立てなければいけません。それは無数に存在しますし、役者の特性によってもバリエーションが違います。それを演出と役者で団結して模索することが肝要だと考えております。
もちろん、演出としての力量によっては、 その筋道を役者に指示するだけで、あたかも観客の反応が演出の思うがままであるような印象を与える舞台もありますが、今回は自身の実力不足と、より深く考察を重ねたいがために、役者とのディスカッションを緻密に繰り返しております。そのうえで、どんどんこの舞台の魅力が溢れてきていることを肌で実感しております。
まだまだ、稽古は重ねていきますが、より沢山の筋道を見つけ出し、より魅力的な物語を偶然のように起きた事件として皆様に目撃していただけるよう、まだまだ邁進してまいります。


ニクバナレ主催 佐藤弘樹

2019年6月 6日 (木)

ニクバナレ第 1 回公演「今⽇、きみがいない」(6⽉12⽇~6⽉16⽇ 中野ウエストエンド)稽古場レポート03

本日も10:00より稽古開始。
全シーンの転換などを順に当たり、ミザンス確認も含めて止め通し。ようやく全体の物語を俯瞰できる。
今回芝居の上で重要となるのが、「モニター」の存在である。通常役者から発せられる台詞が文字情報となって表示される。物語の内容を少々詳らかにしてしまうが、今回人工知能が登場する。「膨大な情報の中から的確な言語を選び出し、会話する」AIだ。作中の人物の性質を模倣し、人物の情報全てを入力した設定である。
役者として、このAIと対した状態は非常に面白い。文字情報のみなのでどのような言葉が発されているのかは想像で補われることになるが、それは受け取る役者のさじ加減であり、また、模倣した人物がどのような性格なのかを担った役者が表現を全うできているかによって質が大きく変わる。何度も繰り返していても、同一に見えず、新たな発見が生まれてくる。一度ずつ、大切に稽古を迎えたい所存である。
また、身体に関しても、どのような表情を持たせるかは非常に演出として気を使っている部分である。
首の振り向き一つ、手の取り方一つでも簡単に雑味やその他の意図が組めてしまう。もちろんその多様性を利用できる場合も多々あるが、今回は具に小気味好い呼吸とテンポ、動きに注力しているため、稽古中にはその一瞬間を反復してどれだけ見つけられるか、そしてそれをただの再現でなく、再生させられるかに挑戦しているつもりだ。
いよいよ明日がこの稽古場の最終日である。また通し稽古を予定している。たくさんの発見を抱えた上でどこまで進化できるのか、まだまだ楽しみで仕方ない。

ニクバナレ主催 佐藤弘樹

2019年6月 5日 (水)

ニクバナレ第 1 回公演「今⽇、きみがいない」(6⽉12⽇~6⽉16⽇ 中野ウエストエンド)稽古場レポート02

本日は10:00より稽古開始。戯曲内容として、少人数でのシーンが連続するため、その詰め作業を行なっています。
台詞の読み方というのは無数に存在しますが、関係が濃密になればなるほど、その選択肢は狭まっていきます。表現として抽象的な言葉をより具体的に捉える上で、台詞に動詞を与えるという作業が有効な場合があります。例えば台詞に「殴る」という動詞を与えた時に、どのように言葉を発するか。それは恐らくほとんどの場合、聞いてる人間に危険な印象を与えると思います。普段人間は感情で動いたり、言葉を発しますが、役者の障害として、感情を考えすぎて自然な言葉を発せない、あるいは自然な状態を持続できない場合があります。その助けとして、動詞のイメージを与えると感情を引き起こし、表現が明確になります。面白いことに動詞を変えるとガラリと状況や関係性が如実に変化します。本日はそういったエクササイズも含め稽古を行いました。
またシチュエーションとして難しいのが、行動をしながら言葉を発すること。今回会話劇として成立させるために、如何に行動目的を持ちながらコミュニケーションを取るか、を課題にしております。どうしても台詞を発する上で構えてしまったり、力みを取る作業を重点に置いている次第です。その対策としてはとにかく繰り返すこと、そしてそれが作業となってしまったら崩すこと。その行き来によってあらゆる可能性を先に体験して、身構える必要をなくし、どんな場合でも対応できるように備えること。今回は時間の許す限り、反復を重視しております。不思議な座組で、繰り返すことが苦にならず、やればやるほど、それぞれ発見と工夫を行えるので、演出としてはこれからの発展が楽しみです。
どうぞ引き続きよろしくお願いします。

ニクバナレ主催 佐藤弘樹

2019年6月 4日 (火)

ニクバナレ第 1 回公演「今⽇、きみがいない」(6⽉12⽇~6⽉16⽇ 中野ウエストエンド)稽古場レポート01

今回の「今日、きみがいない」という戯曲は書き下ろしていただいた会話劇です。本日からサブテレニアンをお借りして、舞台ほぼ実寸での稽古となりました。
その上で、七人での動きや出ハケの確認を済ませて、冒頭から稽古の足りてない部分をさらって洗い出し作業。更には小道具なども含めての稽古で、場のコミュニケーションの発展や可能性が見え始めました。
中でも、主演との関係性を本日は重点的に確認。今回はテクニカル面で特殊な演出があるため、いかにその他をスムーズに行えるかが課題となります。実際の機材が導入できるのはまだ先のため、人為的な面を固める作業に注力する期間です。
また、今回は会話劇の上でも少しシュールな表現を演出するつもりです。自身の好みとして、「想像を掻き立てる何か」「言葉の裏の真意」の表現にどこまで迫れるかに挑戦していきます。
もちろん、まだ成果としては未熟ではありますが、もともとが気心の知れている、共演機会の多い役者集団のため、単純なコミュニケーション、息の合わせ方などは問題なく、さらにより深い意思疎通、あるいは当意即妙なアドリブなどに挑戦していければと思っています。
自身も役者として出演いたしますが、その際には役の裏に潜む「履歴」を大事にしています。バックグラウンドが、役としての発展の可能性、相互関係の基盤になると考えているため、それに準じていない動きや発声には自他共に注意をしているつもりです。まだ、現段階では役の「履歴」を全うできているものはおりませんが、稽古最終日までには納得できる形を作りたい、作れると確信しております。
明日以降もそれを基盤に役の可能性、それぞれの関係性をよりシュールに、さまざまな想像を掻き立てる表現を模索していきます。またテンポに関しても、重視しておりますため、心地の良い間をいかに見つけるかも心がけてまいります。
どうぞ引き続きよろしくおねがいいたします。

ニクバナレ主催 佐藤弘樹

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