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2015年12月

2015年12月31日 (木)

Ammo 稽古場レポート02

 本日はサブテレニアンにてスタジオ稽古2日目。必然的に稽古場レポートも二日目になります。前作「Lucifer」もサブテレニアンで稽古をさせていただきましたが、その時はボスニア・ヘルツェゴビナ内戦の話でした。旗揚げ公演に選んだテーマとしては本当にいかれていますね。
 今作「ジョルジ・フッチボール・クルーヴィー」はブラジル、リオデジャネイロのファヴェーラ(スラム)の物語です。ボスニア・ヘルツェゴビナほどではないにしろ、マニアックなテーマですね。決して身近とは言えないと思います。なぜこのようなテーマを選んだかというと、日本で巻き起こっている小さな渦がもっと拡大して起こっている場所であるからです。
 一昨年秋頃は「ヘイトスピーチ」という言葉が市民権を得た時期で、身近な隣人に対する悪意というのがいかに恐ろしく、そしてどうしようもないかというのを考える時期でした。その時に、肌の色も人種も変わらず、ただ自己認識のみの「民族」で互いに隣人同士が殺しあうという悲惨な内戦を経験したボスニア・ヘルツェゴビナは最適で(少なくとも自分にとっては)ありました。
 今回のテーマは「貧困」です。「貧困を見た時の私たち」と言い換えてもいいかもしれません。「貧困」と言っても演劇人にありそうな洋服が買えないとか、携帯が止まったとか、そんな話ではありません。生まれながらに地の底にいるような圧倒的な貧困。それについて考えてみたいと思っています。詳しくは次回。
  南慎介(Ammo/Minami Produce)

Ammo 稽古場レポート01

 本日はサブテレニアンにてスタジオ稽古1日目でした。
 バミリ(本番のセット同様の目印)も引いて、まずはサブテレニアンと仲良くなることを俳優に求めていきます。本番はd-倉庫ですが、個人的には「スタジオを劇場のかわりと考えてはいけない」と考えています。もちろん劇場の稽古の代替としてスタジオを使っているのですが、まずはこの空間と仲良くならない豊かな空間は生まれず、必然的に劇場でも空間と仲良くなれないといった事態が起こります。
 とは言え、「いけない」「ならない」といった自罰的かつ日本人的な表現を使いましたが、俳優にとってもスタッフにとっても空間と仲良くなる時間というのはなにより楽しい時間でもあります。色々な場所に立って見て声の響きを探る、大股だと何歩で端から端まで自分の範囲を広げることができるのかを確かめる、といったことのみならず、箱馬や仮組の客席、備え付けの棚を作って自分の荷物の収納や居場所を作ることも大切な楽しみのひとつです。
 稽古場という普段の自分とはひとつ別の場所に立つ時、私たちは自由な存在である必要がある。その時に稽古場に文字通り「自分の場所」をつくるというのは何より大切なことであったりします。
 次回は「遠くのあなたに手を伸ばすこと」について。
 南慎介(Ammo/Minami Produce)

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