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2014年7月

2014年7月 8日 (火)

『キル兄にゃとU子さん』アフタートーク2013/12/5(木) 渡辺亮史氏(劇団渡辺)  

ゲスト 渡辺亮史氏(劇団渡辺)×赤井康弘(サブテレニアン・サイマル演劇団)

赤井 本日はご来場いただきありがとうございました。この作品は2011年6月に福島県の劇団満塁鳥王一座がサブテレニアンで初演した作品です。上演することは前から決まっていたのですが、地震がおきて、そもそも公演ができるのかというところから彼らは作品を作りました。そして、もともと公演を予定していた福島県内の劇場は損傷して公演が打てなくなったため、結果的に東京が初演となったのです。
 当時は芝居どころではない状況で、普段稽古場にしているところが避難所になったり、稽古のために集まっても、台本があったとして、「そんなものを演じることにどれだけの意味があるのか」と問うているような状況でした。
 僕が5月に稽古の見学に行ったときは、大信さんが役者にインタビューをしていました。「地震の時何をしていたか」とか、「地震の後2ヶ月の間どうしていたか」「地震についてどう思っているか」といったことを。福島市は原子力発電所の事故もあり、一見街は穏やかに見えるけれども、それぞれ不安を抱えているように見えました。

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『キル兄にゃとU子さん』アフタートーク2013/12/2(月) 西堂行人氏(演劇評論家) 

ゲスト:西堂行人氏(演劇評論家)×赤井康弘(サブテレニアン・サイマル演劇団)司会:菅野直子氏(99roll、劇作家・演出家) 
 
菅野 「キル兄にゃとU子さん」の初演の脚本がシアターアーツに掲載されたのは、西堂さんが編集長を務めていた時なのだそうですが、掲載した理由をお聞かせいただけますか?
 
西堂 震災を扱った最初の作品だったということが一つあります。作家が震災をどう受け止めているのかということに興味があったのですが、疑心暗鬼の中で無我夢中で書いた作品だと思いました。現実に半身を曝している状態で、ある種のドキュメント性が色濃くありました。俳優達もどう扱ってよいのか戸惑いながら、それでもやらなくてはという確信を持ってやっていて、舞台に強さを与えていました。シアターアーツは商業誌ではないので、実験性や問題性を持った戯曲を載せるということを考えており、掲載するのに相応しいと思いました。

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『キル兄にゃとU子さん』アフタートーク2013/12/1(日) 大信ペリカン氏(満塁鳥王一座)

ゲスト:大信ペリカン氏(満塁鳥王一座)×赤井康弘(サブテレニアン・サイマル演劇団)司会:菅野直子氏(99roll、劇作家・演出家)
 
菅野 今日は作者の大信ペリカンさんを招いてトークを行います。大信さんはリライトにあたってどのようなことを考えたのか教えていただけますか。
 
大信 何度か打ち合わせをして、情報をもらったりもしたのですが、結局、ほとんど自分の考えに基づいて書き直しました。
 震災から2年8ヶ月経っていることや当事者性の問題、韓国人が出演することなど、いろいろと考えたのですがうまい回答を見出すことができなかったんです。当事者性ということを考えても、私たちがこれを初演した段階においてすら、被災者という大きな括りの中では当事者性を持ってはいるものの、自分たちが被災したわけではなく、当事者からは外れているのです。それは結局、演劇というものの基本、本質であって、自分は王子でもないのにハムレットを演じる、被災者でない人が被災者のふりをして被災者を演じることになるわけです。そこに疑いを持っていたので、この芝居にも当事者は出てきません。キル兄にゃもU子さんも出てこない。登場人物は、彼らが住んでいたその街を知っていくことで呆然とするという話になっているのです。だから、再演の時もそのままやってもらった方がいいんじゃないかと思ったんです。
 また、2年8ヶ月という時間に関しても、震災直後に書いた時の衝動を、時を経てもそのままやることが有効なんじゃないか、と「あまちゃん」の最終回を見た時に感じました。「あのとき」を思い出すという行為の中に、2年8ヶ月という時間が見た人の中に芽生えてくれればよいと思って。また、「普遍性」やパースペクティブな視点を持たせるために「1970年の女」という新しいキャラクターを出しました。初演時より、もう少し広い空間からU子さんの街を照射していこうと思ったのです。

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『キル兄にゃとU子さん』アフタートーク2013/11/30(土) 柾木博行氏(シアターアーツ編集長) 

ゲスト:柾木博行氏(シアターアーツ編集長)×赤井康弘(サブテレニアン・サイマル演劇団)司会:菅野直子氏(99roll、劇作家・演出家)

 
菅野 今回の企画について、赤井さんより再演にいたった経緯をお聞かせいただけますか?
 
赤井 この作品は2011年6月にサブテレニアンで初演して大きな反響を呼んだ作品です。震災や原発を扱っていますが、40年前からの視点も含めて、個人と政治の関わりという上でもアプローチができる脚本で、5年たっても10年経っても再演する価値がある作品だと思いました。ずっと再演したいと思ってはいたのですが、震災から2年、3年経っている状況や、福島の俳優ではなく東京と韓国の俳優でやるという枠組みでリライトして上演できないかと思い、企画が動きはじめました。

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