« 2013年6月 | トップページ | 2013年10月 »

2013年8月

2013年8月20日 (火)

危婦人「ボナミ」 稽古場レポート05

本日初日です。
最後の稽古場レポートです!
稽古場レポート5
スタジオ稽古、5日目。
そして、最終稽古!! ほんとに、あっと言う間である。
この企画が立ったのが、今年の2月のことだった。
あれから半年。まだまだ時間はある、と思っていたが、来週には劇場入りだ。
今日の稽古は、1場からの返し稽古。
流れは十分にでてきたから、あとは細かいところをつめていく。
稽古を重ねていくと、初めは自然にできていたところが、段取りの動きや気持ちになってしまうことが多々ある。
少し刺激を与えて、新鮮さを取り戻す。
役者にしてみたら、もっと早く言ってくれよ、ということも多々あるとは思うが。
今の段階だからこそ、あえて壊して再構築するのだ。
私には特に演出論というものはない。
ただ、影響を受けた演出家はいる。
もうかれこれ20年ほど前か。自分が役者で舞台に立っていたときに演出していただいた方だ。
とにかく細かく演出される方だった。
その場のリアルな感情を見せないと、まあそれはそれは注意をされる。
その時私は、50代のおばちゃん役と、中学生の役、二役だった。
中学生の衣装は、ひらひらヒダスカートの制服だった。
劇場稽古のとき、いつもスカートの下に履いてたスパッツをはかずに稽古にでてしまった。
私のシーンに、家庭教師の先生の元へ、勢いよく移動する、という動きがあった。
床に座っていて、立たずに動かなくてはならない。
いつもなら、中にスパッツをはいていたので、
何もひるむことなく、スカートをひらり、としながら動くことができた。
でもその日は違った。いつもと同じようやったら、スカートの中が丸見えになる恐れがあった。
迷った。その結果、私は動きを妥協した。いつもより勢いもなく、ただの段取りにような動きになったのだ!!
そしたらまんまと指摘された。
段取りでやるんじゃない! と。
私は確かに躊躇した。パンツが見えてならぬと。余計な邪念が、リアルな感情(動き)を壊していた……。
まあ強いていえば、それが、私の演出論のバイブルといえるかもしれない。
5日間のスタジオ稽古で、じっくりと芝居が熟成した!
明日から小屋入り。
いよいよはじまる。
危婦人公演 「ボナミ」 @下北沢Geki地下リバティ
8月20日(火)~25日(日)
詳細 http://www.kifujin.net

2013年8月18日 (日)

危婦人「ボナミ」稽古場レポート04

稽古場レポート4
 
スタジオ稽古、4日目。
今日は、いつもより遅めのスタート。
昼からざざっと全体を流すように返し稽古をしてから、夜は4回目の通し。
さらに芝居がぎゅっとしてきた感じがある。
 
今回の作品は、とある一軒家のお店がモチーフとなっている。
舞台と同じように、1Fは居酒屋、2Fはシェアハウスなのだ。
 
最近流行っているシェアハウス。いわゆる昔でいうところの、下宿やさん。
今は、自室だけでなく、共有のリビングがあったり、キッチンがあったりして、少しオシャレになっているのがシェアハウスなのだろう。
 
ストーリのサブ的要素にはなるが、この作品にも、そのシェアハウスに住んでいる個性的な面々がでてくる。
だいたい、誰かと一緒に住む、しかも見ず知らずの人たちと。
それを好むような人は、普通と少し感性がちがうのではないかと思っている。
だから今回はあえて賑やかなメンツを揃えた。それがよく機能している。
稽古が重なるたびに、仲良し度があがっていく。
見ているみなさんに、
こんなところに一緒に住みたいなあ、と思わせられたら勝ちだろう。
物語であることは分かっていながらも、よりリアルに。
この家が目の前に存在できたらいいなと思う。
 
ちなみに、この物語を思いついたきっかけは。
そのモチーフとなった一軒家に、実際住んでいた人から聞いた一言だった。
 
「ビールを一杯飲んでから、部屋に上がるんだ」と。
 
なんて楽しそうなんだと思った。
その時思った感覚を、ぜひ舞台で再現したいと思っている。
 
稽古後は、いつもの宴会! ではなくて。
小道具と消え物の打ち合わせ。とにかく細かく用意するものが多い。
細かいものほど、後回しにしてしまう。もういいかげん、全部決まらないといけない。
 
そんなこんなで。明日で稽古もラストだ!
やり残した感じはそれほどないけど。やれることはまだまだある。
もう一日、気合いをいれて稽古する!
 
 
 
 
危婦人公演 「ボナミ」 @下北沢Geki地下リバティ
8月20日(火)~25日(日)
詳細 http://www.kifujin.net
 

危婦人「ボナミ」 稽古場レポート03

稽古場レポート 3 危婦人  演出 スギタクミ
スタジオ稽古、三日目。
本日は昼からまず、三回目の通しを行う。
しかも、スタッフさん勢ぞろいだ!
毎回多少の入れ替えはあるものの、スタッフはだいたいいつも、同じ方々にお願いしている。
気心知れたスタッフさんがいてくれると、ほっとする。
特に音響さんはもう10年近く一緒に仕事をしている旧知の中。
何も説明しなくてもだいたいの意図をくみ取ってくれるので大変助かる。
旧知の仲といえば、今回出演してくれている、カムカムミニキーナ・田端玲実とも15年来の付き合いだ。
私がまだ、カムカムで役者をやっていた頃!から知っている。
実は、同期。全く同じ日から、稽古に参加した。
そのとき彼女は、演劇未経験だった。
ふたりでどこかに遊びにいくような仲ではなかったけれど、なんだかんだと親交を深めてきた。
ちなみに私たちの、カムカムでの初舞台。
彼女は蜂の役で、私は熊のお母さんだった……。
今こうして同じ舞台で、主演と演出家でいるというのはとても感慨深い。
前日の細かいダメだしの成果もあって! 
今日の通しは、これまでで一番いい出来だった。
役者たちのイメージが統一できたのか、全体的に流れが生まれ始めた。
テンポとメリハリがとてもよくなり、作品がぎゅっと濃縮された感じに。
ここまでくると一安心。ようやく人前に出せるレベルだ。
でもまだまだ余計な部分はあり、削ぎ落せるところはある!
昨日、一昨日と結構つめて稽古をしたので、今日は少し早めに稽古を終える。
その後、役者たちと親睦会。台本についてあれこれと話し合う。
この話し合いが意外と大事。
役者たちのほうが、いろんな想いをもって台本を読んでくれるから。
私が気がつかないところを指摘してくれる。
無意識だった部分が、具現化することで、一層世界観が広がるのだ。
いい感じに稽古が進んでいる。小屋入りまであと二日。
最後までもがき続けたい。
危婦人公演 「ボナミ」 @下北沢Geki地下リバティ
8月20日(火)~25日(日)
詳細 http://www.kifujin.net

2013年8月16日 (金)

危婦人「ボナミ」 稽古場レポート02

稽古場レポート 危婦人  演出 スギタクミ
スタジオ稽古、二日目。
役者たちは実際の舞台の実寸や美術、小道具にも慣れ、芝居にだいぶ滑らかさが加わってきたように思う。
冒頭から返し稽古をし、夜は二度目の通し。
前回の通しでは、まだ段取りが不安定な部分があったり、芝居自体が間延びしている部分があった。そのせいで、タイム(上演時間)も長くなってしまっていたので、それらを修正して、通しに臨んだ。
タイムは、だいたい予想通りのところに落ち着いたが、いろんなことがスムーズに流れ始めた分、細かいところで、気になる箇所が浮き始める。そうなると、ダメだしが山のように出てくる、出てくる!
役者は、ダメだしをされないと、逆に不安になるらしい。
いいことでも悪いことでも、何か言ってほしいそう。
演出家から言わせてもらえば、あえて何も言わない、ということは、
ダメを出すまでもなくひどい(細かいことをいう段階ではない)、
もしくは、何か意見するほどでもない(何も気にならない!)ということだったりするのだ!!(ま。いうほど、大げさなことでもないですが…)
だから、細かくダメがでるというのは、とてもいいことなのだ。
直したい、こうさせたい、というところがたくさんあるから。
今日の通しでようやく、作品への迷いが吹っ切れた気がする。
目指すところがはっきりしたというか。霧が晴れた。
オリジナルの作品を作るときは特に、正解があるようでない。
ゴールはなんとなく見えているんだけど、その道がいばらだったりする。
でもそれでいいんではないかと思う。
迷わずついてしまったゴール(作品)なんて、むしろ面白くない!
いまここで悩んだ分、きっと作品に還元されるはずだろう。
もうゴールに向けて突っ走るだけだ。
稽古後、舞台監督さんと演出助手のみっちょんが、食器に養生をしてくれていた。
舞台は、いろんなひとに支えられている。
危婦人公演 「ボナミ」 @下北沢Geki地下リバティ
8月20日(火)~25日(日)
詳細 http://www.kifujin.net

危婦人「ボナミ」 稽古場レポート01

只今、サブテレニアンでは、危婦人さんが8/20(火)〜25(日)まで下北沢・Geki地下Libertyで上演する「ボナミ」(作・演出/スギタクミ)の稽古中です。本日からスギタクミさんによる稽古場レポートをお送りします。

____________________

さあ、いよいよ本日より、スタジオ入りである!
来週の初日に向けて、稽古も佳境に入った。
まずは、舞台監督さん、美術さん、演出部で、舞台の仕込み。
仮組ではあるけれど、一気に雰囲気がでる。
今回は少々、段差がある美術のため、この仮組で稽古ができるとできないでは、だいぶリアル感が違ってくる。
不思議なことに、階段の上り下りひとつでの間合いでも、場の空気ががらりと変わってしまうのが舞台なのだ。

本日の稽古は、まず、この美術に慣れるところから始める。
冒頭から丁寧に場をあたっていく。
特に、出入りも多いが、転換も消え物も多い芝居。
これはとにかく、丁寧にあたっていくのが、完成までの一番近道。
今回の出演者は経験豊富な役者ばかり。
こちらから細かく言わなくても、すぐに転換の流れができてしまうのはありがたい。

本番に近い美術を使っての稽古は、やはり、全然違う。
これまでの稽古場でも、舞台の実寸はとってはいたが、今まで見えていたものと、また違った景色が見えてきた。
今回の座組みは、舞台の広さに対して、出演者が多め。
どこに立って見せるのが一番効果的なのか、を探るのが、かなり重要なところだ。
思った通り、今日の稽古で、だいぶ変更点が出た。
これはかなりいい感じである!
実際の美術を前に、私の想像力も膨らんでいるのだ。

やはり稽古で重要なのは、イメージの共有だと思う。
共同で、ゼロから何かを作り出していく作業はそう容易ではない。
私は、脚本を書き、それを演出してるので、当然、頭の中には芝居の完成形が出来上がっている。
その到着点に向かうために、あれこれ指示をだし、役者たちを誘導していく。
当然のことながら、役者たちが、はじめから、私と同じイメージでいるわけがない。
でもある瞬間、それが共有できる。
その共有度が、増せば増すほど、作品の質も高まっていくのだ。

あと4日間、その共有度がどれほど高まるかが、勝負である。

危婦人公演 「ボナミ」 @下北沢Geki地下リバティ
8月20日(火)~25日(日)
詳細 http://www.kifujin.net

« 2013年6月 | トップページ | 2013年10月 »