« 2013年5月 | トップページ | 2013年8月 »

2013年6月

2013年6月19日 (水)

雲の劇団雨蛙「盲人書簡」稽古場レポート

今月末、サブテレニアンでは寺山修司の代表作「盲人書簡」が上演される。その稽古場にお邪魔した。

上演するのは、島根を拠点として活動する雲の劇団雨蛙。演出は名古屋在住の寂光根隅的父(ジャコウネズミのパパ)/双身機関、出演者は雲の劇団雨蛙の代表でもある朝日山裕子さんらと名古屋の俳優2人、オーディションで選ばれた東京の俳優5人の計8人。
先日、都内で行われていた稽古では、東京組の俳優と朝日山さんの6人が演出家に与えられた課題を考えつつ、シーン作りをしていた。喋るべき台詞は決まっているが、それをどう身体に落とし込みながら、他の俳優との関係のなかで舞台の上にどのようなシーンを作っていくのかは俳優に任されているようだ。演出助手である岡田和歌治さん(雲の劇団雨蛙)にも助けられながら、一見遅々としているが有意義な稽古が繰り広げられる。もやもやしていたシークエンスが、誰かの一つの動きをきっかけに劇的な瞬間に変わったり、やはり舞台は自分のことだけではなく、他者(=リアクション)を大事にしなければならないという、当たり前だけど演じているとつい忘れてしまうようなことも稽古を見ていると発見できた。
今週末からの名古屋での稽古を経て、来週末、サブテレニアンで上演されるのがとても楽しみになった。
寺山修司の伝説的な作品が、闇に包まれて、生まれ変わります。
雲の劇団雨蛙「西向く士、東へ」プロジェクト第3弾/SENTIVAL!2013参加
『盲人書簡』
作:寺山修司
演出:寂光根隅的父(双身機関)
    *利賀演劇人コンクール2012優秀演出家賞、観客賞受賞
出演:島根/朝日山裕子(雲の劇団雨蛙)
   東京/佐藤愛、竹内もみ(劇団スクランブル)、田仲ぽっぽ、中根道治(劇団      スクランブル)、山本啓介
   愛知/加東サユミ(CaRuta)、ポチ(双身機関)
6 /28(金)18:00
   29(土) 14:00/18:00★
   30(日) 18:00
      ★終演後トークあり
一般 / 前売 2,500円 当日 3,000円
学生(要学生証) / 前売 2,000円 当日 2,500円
【雲の劇団雨蛙】
作・演出家 岡田和歌冶と島根の女優 朝日山裕子のユニット。
2012年9月劇王X中国ブロック大会より活動開始。その時の演目「positive」を1000人に見てもらうべく、全国行脚中。また、5年後の劇団を想像し、全国で知り合った演劇人達と様々なプロジェクトを立ち上げ活動している。
【「西向く士、東へ」プロジェクトとは】
雲の劇団雨蛙が旅公演中に各地で出会った演出家を呼んで、2・4・6・9・11の月に公演を行う企画である。

2013年6月10日 (月)

シグナルズ「あなたがいたから」 稽古場レポート07

6月9日(日)
 
今日は稽古最終日だが、この期におよんでもまだ、稽古は小返しからだ。
芝居の中盤の主人公とその親友が再会するシーンを稽古する。
これは台本を書いていた当初より悩んでいたところだが、久しぶりに再会した親友同士というものはどんな感じで会話するのだろうか。親友だから、時の流れを乗り越えて昔みたいに仲良く、気のあった風で会話するだろうか。
それも正解だろうが、主人公は親友に対してあるわだかまりのようなものを持っているから話は複雑なのだ。
またこのシーンは芝居の中盤だし、二人だけで会話するというシーンが結構な時間ある。
観客の心、集中力を芝居にのめりこませたまま持続するにはもうちょっと工夫が必要だと思ったのだ。
どう工夫したのかはネタバレになってしまうので書けないが、二人のシーンはセリフをカットしたわけでもないのに体感時間がとても早くなった。早く感じられるばかりではなく、シーンの意味も際立ったと思う。
 
しかし、私は小返しが好きな演出家らしい。
演出家の中には、シーンをある程度流して駄目出ししてを繰り返すことで作っていく演出家もいるが、私は小返しして、解決したいことはその場で解決していくタイプだ。
役者も実際に繰り返すことで演技が身に染みるし、その場で問題を解決できるからこれはいいことだと思うのだがどうだろう。
まあこれは、演出家の好みか。
 
大好きな小返しを終えて、いよいよ最後の通し稽古を行った。
 
通しのできは、今までで一番いい出来だった。
 
軽からず、重からず、その場にあるべきものはその場にありながら、テンポよく心地よく芝居が進んであっと言う間に芝居が終わった。
実際タイムが2分ほど縮んでいたし、スタッフさんからも体感時間がまったく違ったとの声も聞けたから間違っていないのだろう。
 
そんな通しができて、稽古場を後にすることができることを嬉しく思う。
 
思えば、稽古開始は4月末、台本の書き出しになると今年の年明けに遡る。
正直この芝居でお腹がいっぱいという時期もあり、稽古するのが苦しい時期もあったが、めげずに稽古したことがよかったことが証明されたような通しだったと思う。
 
あとはこれを本番でもやるだけだ。
 
最後に、稽古に集中できる環境をあたえてくださったサブテレニアンさんに深く感謝して、筆を置きたい。
 
この稽古場レポートにお付き合い下さり、ありがとうございました。
______________________________________
シグナルズ10th LIVE「あなたがいたから」
作・演出 大山鎬則
 
2013年6月12日(水)~16日(日)
@下北沢 劇小劇場
 
◎タイムテーブル
 
12日(水)19:30
13日(木)19:30
14日(金)★14:00/19:30
15日(土)14:00/19:30
16日(日)14:00
★マチネ割引
 
◎料金:前売 3000円 当日 3200円
 ★マチネ割。14日(金)14時の回のみ 前売当日共 2800円
 
◎出演
 
杉山薫 吉田千絵 常盤昌平(以上シグナルズ)
福田英和(7の椅子) 原弘(原色舞台) 富永瑞木 鶴まき
杉村こずえ 後藤沙恵 豊田記央
野澤爽子(KAKUTA)
シグナルズwebsite http://signalsz.jimdo.com/

2013年6月 9日 (日)

シグナルズ「あなたがいたから」 稽古場レポート06

6月8日(土)
 
 
本日は昼夜と二回の通し稽古をした。通し稽古が始まる前というのは一種独特の空気が流れるものだ。役者は自分の演技がいいものとなって、確信をえる稽古にしたいと、期待と緊張でいっぱいだ。それを見ている演出家の私もそわそわと意味もなく稽古場を歩きまわって落ち着かない。じっと座っていられないのだ。
もう出来ることは限られているということもある。
もう、ベースとなるところは作られている。何回か前のレポートに試すことの大切さを書いたが、さすがにもう大きな試しはできない。もちろん小さな実験は日々役者が行っているが、もうこれからの稽古は大筋では変らないものを、体に、心に染み込ませる稽古になる。
つまり、繰り返すこと。うまく繰り返すことが大切になってくるのだ。
 
明日小屋いりでもいいものを見せられる自信はあるが、更なる高みを目指して通し稽古に臨んだ。
 
昼の通し稽古は、昨日の通しは良かったものの、少し力みが感じられたので、それをとっていこうと指示をした。
 
結果とても見やすい、押し付けがましくない芝居になったと思う。
役者に力が入っていない分、見ている側も緊張せずにある意味気楽に見られるできだったと思う。
が、今度は少し芝居が熱にかけ、物足りなくなった感じもしたので、駄目出しではその点を指摘した。実際小返しもしてもう一度、芝居の細部を調整する。
 
休憩を挟んで夜の通しだ。
 
夜の通しは、これまでの通しの中で一番いい出来となった。
力が入りすぎず、かといって抜けすぎず、盛り上がるべきところではグッと盛り上がり、軽くみせるべきところでは軽くシーンが流れ、なんともいい感じで物語が紡がれていってラストへとなだれ込んだ。
 
稽古場レポートでこんなことを書くのはおかしな話かもしれないが、やはり稽古はすべきなのだ。できているシーンを繰り返してなんの意味があるかと思ってしまうこともままあるが、やってみれば新しいことを発見できたり、役者の体に役がなじんだりする。
 
演出家は稽古の目的を必ずしも設定して稽古する必要はないと思う。
 
稽古をただ素直に見ていればおのずから、そこに必要なものというのは見えてくるものであるからだ。邪念、雑念なく見ていれば。
 
だから、稽古はすべきなのだと思う。いついかなる時でも。
 
さて、明日は稽古最終日、またまた小返しからの通し稽古だ。
 
いい形で劇場に入れるように準備したい。

2013年6月 8日 (土)

シグナルズ「あなたがいたから」 稽古場レポート05

6月7日(金)
 
今日は始めにまたブロックごとの通し稽古をしたのだが、正直場面によって出来不出来の差があった。初めての通しを終え、かつまた、昨日の抜き稽古でいい芝居ができたことの揺り戻しがあったように思う。役者も私も、気を抜いているつもりはない訳だが、疲れもあって力を抜いてやろうとしたことが、悪い方に出たと思う。
そこのところは細かく駄目出しをして、また心理的な面での気の持ちようもきちんと指摘して、
昼間の稽古は終えた。
稽古をやっているとこういうことは稽古中に一回くらいはあるものだとは思う。
だが、そこをまあまあそういうものだと通りすぎないで、演出家が指摘をしてもう一度各々芝居を見直し、気持ちの面でも持ち直して、次の通し稽古に臨むことが必要だ。
本当に芝居には幕が降りるまでこれでいいということはない。
骨が折れる作業だが、人に見せようというものを作っているのだ。当たり前のことと思ってやれることを最大限やるしかない。
不安も正直募ったが、気合を入れなおすいい機会ととらえた。
 
その後は転換稽古を行った。
 
転換は殆どを役者が行う。役者は演じてさえいればいいというのが理想だが、そうもいかない。転換の手がつかないと役者自身も落ち着かないし、それに転換は重要な芝居の一部だ。
どうしたって暗転が挟まると観客の集中力を途切れさせるきっかけになるから、そこをできるだけスピーディーにして次のシーンにつなげる必要がある。
なので時間をかけてしっかりと転換の手をつける。
 
役者の中に転換を始めとしたスタッフワークに長けている者が居て、リードしてくれる。
私はそういったことにはまったくうといのだ。
その役者のもと、力を合わせて転換稽古を乗り切った。
なんとかホッと一息というところだ。
 
休憩を挟み、いよいよ二回目の通し稽古だ。
開始前に輪になって、再度通しに向けた気持ちの確認をする。
私はこれをよくやるのだが、通しや本番の前に集合し、輪になりお互いの顔を見ておくことは本当に重要だと思う。
お互いの目を見ておくことが大切なのだし、お互いに同じ方向を向いて芝居をすることを確認するいい機会になるからだ。
正直昼間のことがあるからどんな出来になるかと不安だったが、結果いい出来だった。
昼間うまくいかなかった役者もきっちり通しに合わせて気持ちを上げて取り組んでくれた。
昼間とは見違えるように、各シーンがイキイキとして、体感時間がまったく昼間とは違いどんどんシーンが進んでいく印象だ。
さすがに各役者、自覚を持って取り組んでくれることが大変頼もしいと感じた。
 
もう少し力を抜いて今回と同じことが出来ればこの芝居は行けると思う。
 
後は、役者と私が昼間のようなことのないように頑張っていくだけだ。
 
明日は二回通し稽古。
 
二回とも上出来として、稽古を終えられるように、私も役者も全力で頑張る。

2013年6月 7日 (金)

シグナルズ「あなたがいたから」 稽古場レポート04

6月6日(木)
 
 
今日は最初に、主人公の女性役のシーンを中心に稽古した。この役を演じる女優がもうあるレベルにはもちろん達しているが、また違ったアプローチをすれば、より役が観客に伝わるのではないかとの提案もあり、試してみることとした。
試すということはとても大切だ。ある形が出来上がっていてそれを壊すのではないかと、試すことを躊躇してしまうこともままあることだが、せっかく時間を使って稽古しているのだ、あらゆる可能性は探っておきたい。
大筋の方向性は定まっている。それはもう簡単には揺るがないとの自信もあるのだからやればいい。私も役者もできうる限りのトライはしてきたから、またここで新たなことを試せる。
そういった状態にあることが良いと思う。
 
結果、試した方向性は採用されなかった。
 
彼女が試した方法はより内心を提示する方向だったのだが、それでは役者の意図と観客の受け止め方に差異が出てしまうと思ったのだ。
役者は役の内心を分かっているからそれを最初から提示していきたいのだが、観客は役者の内心を段々と芝居を追うごとに分かっていくのだから、最初から提示しすぎると、逆によく人物が伝わらない感じだった。
 
非常に微妙な心の揺れを演じているので、役者がここは伝わるのかと心配になって上にかいたような方法でやってみたいと思うのは分かるのだが、微妙だからこそ内心をしっかり持ってその時々の相手との関係に身を委ねて、観客に役の気持ちを想像してもらう方法の方がいいということになった。
 
試したことが採用されなかった訳だがそれは無駄ではもちろんない。
 
試したことで、ディスカッションしたことで、役者は今までの方法で間違っていなかったんだと確信を持てたと思う。それは役者の演技の力強さを一段アップさせることになった。
 
漫然と今までやってきたことを繰り返すのではなく、疑って試すことの大切さを改めて知ることとなり、よかったと思う。
ベースを作り、試す。その繰り返しが稽古なんだなと思う。これは今回の公演の稽古に限らずこれからも覚えておきたいことだ。
 
それが終わったら、また各シーンの小返しをしていく。
 
と、稽古場にちょっとした化学反応が起こった。
 
今までできていたことが、もっとよりよくできるようになったのだ。うまく説明できないが、役者がノッている状態が生まれた。
例えば今まで思いつきもしなかった立ち位置で芝居をする役者が現れ、それが今までより断然いい。シーンが効果的になる。
 
語尾に今まで無かった小さな笑いをつける役者が出てきたそれが役のいやらしさをより際立たせた。
 
いままで気付かなかった本当に小さな隙間が埋まる瞬間が出てきた。
 
それが一人の役者にとどまらず、殆どの役者にあった。
 
稽古場がうねる感じがある。
この瞬間を迎えられたことで、この芝居は本当に何とかなるのではないかと思えた。
 
やはり、役者はお互いに影響しあっているのだ。
 
同じ空気の中で、言葉にせずとも、役者同士が共鳴すること。それを見られるのは演出家としてはとても嬉しいことだ。
 
何とかこの空気を劇場まで持ち込むように、残り3日の稽古を、繰り返し書いているが油断せずにして、もっともっといい作品にしたいと思いを新たにした稽古だった。

2013年6月 6日 (木)

シグナルズ「あなたがいたから」 稽古場レポート03

6月5日(水)
 
今日は初めての通し稽古に備えて、芝居を3ブロックに区切り、ブロックごとに通し駄目出しをするということをした。
通し前に、洗い出せる修正点は全て洗い出してしまおうという意図だ。
稽古量は十分にこなせているし、役者の集中力も高いので、もう大きな変更をすることは無いと思うが、例えばセリフの明瞭さだったり、セリフが今誰にかかっているのかということを再度細かくチェックする。
すると、ここはもう少し明瞭にとか、ここはこの人にもう少ししっかりかけようとか、修正すべき箇所が見つかる。
こうした稽古をしたことで、役のもつ感情、意図がさらにくっきりして、シーンそれぞれの通りがよくなったように思う。
 
また、この稽古では、あるシーンに少しコミカルな演出をほどこした。
基本的にこの芝居はシリアスな芝居だが、シリアスだからといって、全て真面目にやればいいかと言えばそんなことは無いと思う。
コミカルな演出を差し挟むことによってこれもまた、役を深くすることにもつながるし、芝居を深くすることにもつながる。
人はシリアスな状況でおかしなことをすることは当然あるからだ。
 
また単純に芝居が見やすくなる。
見やすいということは重要だ。もちろん全てが親切すぎてもいけないが、そういったことを差し挟むことにより、観客に物語を身近に感じてもらうことは大切なことだと思う。
 
食事休憩を挟む。
 
通し前の休憩というのは独特だ、皆一見いつもと変らない様子で過ごしているように見えるがそこにはある緊張がある。
通し前の休憩をうまくすごすことも、通しをうまくいかせることに大切だと思う。
 
19時より、通し稽古開始。
 
役者の緊張感はいい方に作用したと思う。
役者の演技が力強い。
芝居が流れているあいだ、この作品のうらに流れている一本の芯が途切れることがなかった。役者も、それを感じられたと思う。
 
この芝居にはもう、一本芯が通っていることが確認できた。
また時間が流れるのが早く感じられた。
いい出来だったことの証拠だと思う。
 
とりあえずホッとしたというところだ。
 
だが、ホッとしている場合ではもちろんない。
 
明日は主役の女性二人の出る場面を中心に稽古して、二人の居方がどうあれば二人の関係がより観客に伝わるかを検証する稽古になると思う。
 
稽古最終日まで、また油断なくやりたい。
 

2013年6月 5日 (水)

シグナルズ「あなたがいたから」 稽古場レポート02

6月4日(水)
 
今日は重点的に稽古をしたシーンがあった。
若い男と女の恋にまつわる喧嘩のシーンである。このシーンを稽古していて兼ねてより思っていたことは、直接的に好きだの言わないのだが、はっきりと二人はお互いを大切に思っていて、お互いに二人のこれからを真剣に考えているということを、シーンの始めから観客に伝えなければいけないということだ。
 
言葉で語らないのだから、二人の態度や視線、雰囲気、かもし出している空気、つまり二人の居方がとても大切になってくる。
 
これまでの稽古でかなり伝わるようにはなっていたのだが、もう一押し、あきらめずに先に書いたようなことを鮮明にしたいと取り組んだ。
 
二人の声のトーン、ボリュームj、立ち方座り方、居方に微調整を加えていく。
役者も演出している方も非常に骨の折れる作業だが粘り強く取り組んだ結果、二人はとても仲のいい、そしてお互いに波長のあっているカップルに見えるようになったと思う。
 
もちろん観客にはどうしたってふたりが仲のいいカップルだということは情報としては分かる。
だが頭に届く情報としてではなく、心に感じさせたいのだ。
 
それは、今のところ演出家の私が見て、これならというところまできたと思う。
 
そして稽古時間外のことではあるのだが、二人は稽古の前、稽古の後、お互いの書かれている部分もそうでない部分もよく話し合っているのだ。
 
そうした、稽古外の取り組みが、稽古に反映されていて、これは役者の手柄だと思うし、そうして関係性を築ける現場であることをなによりだと思う。
 
また、今日は部分的な通し稽古もした。
 
役者の体に、頭にではない、体に、役の生理を染み込ませていく段階に入ってきたと思った。
これからはここをこうする、というよりは、今あるものを本当に我が事のように感じて演じることができるかが大切になっていくだろう。
 
明日は初の通し稽古だ。
 
役が役者の我が事になるように、残された数日を無駄にせず、最後までやるべきことをぬかりなくやりとげたい。
______________________________________
シグナルズ10th Live「あなたがいたから」(作・演出/大山鎬則)
2013年6月12日(水)〜16日(日) 下北沢・劇小劇場
http://signalsz.jimdo.com
 

シグナルズ「あなたがいたから」 稽古場レポート01

只今、サブテレニアンでは、シグナルズさんが6/12(水)〜16(日)まで下北沢・劇小劇場でで上演する「あなたがいたから」(作・演出/大山鎬則)の稽古中です。本日から大山さんによる稽古場レポートをお送りします。
______________________________________
6月3日(月)
 
いよいよ本日からスタジオに入っての稽古となる。稽古場にも実際に使う置き道具も入り、士気もおのずから高まるのが、役者全員から感じられていい雰囲気だ。
 
今日は8景あるシーンを一つ一つ、繰り返し丁寧に小返し稽古とした。
もう通し稽古をしようと思えばできるし、そうしようかとも思ったがあえて各シーンの残された可能性を探ることとした。
 
シーンの中にある、短い会話、エピソードをこれでいいのかと自問しながら稽古を進めていく。
そうするとやはり、そこにあるべき時間の流れ方や、言葉、心のかみ合い方があらたに見えてきて、非常に有意義な稽古となった。
 
テンポよく流れていたシーンをあえて、テンポを落として会話してみることで、そこにあるべき全体の空気がよりはっきり立ち上がったし、3行のセリフにこだわって声のボリュームや役者のテンションを変えてみることでよりつながりがスムーズになってシーンの隙がなくなったりもしたように思う。
 
やはり、細部にこだわって、油断なく繰り返すことが芝居全体をよくすることが実感できた稽古だったと思う。
 
まあ、通してみないと分からないことではあるのだが、きっと今日の稽古は身を結ぶだろうことが確信できた。有意義だった。
 
また、主要な役を担う役者とディスカッションして、その役者のあるシーンに対しての疑問を払拭できたりもした。
 
役者は機械ではなく、気持ちで動いているわけだから、そういったことも大事なことだ。
通し稽古は明後日に迫っている、あしたも油断なく、粘り強く細かく稽古したいと思う。

« 2013年5月 | トップページ | 2013年8月 »