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2012年9月

2012年9月30日 (日)

犬と串「さわやかファシズム」 稽古場レポート06

9/29

 本日は14時から通し稽古なので、入り時間は自由にし、各自14時までに準備を済ませてもらう。
1シーンだけ通しまでに稽古したいシーンがあったので、そのシーンに出演する俳優のみ12時に集合してもらい、段取りを確認。
 その後13時半頃から音のきっかけを確認し、14時から無事に通し稽古開始。音も全て揃い、各シーンの繋がりもスムーズにいったことで、かなり本番に近い状態の通しとなる。
 だがそれゆえ、今までスルーしてきたような細かいミスが気になる。前の通しでダメを出した部分で、反映されていた部分もあるのだが、これは俳優のレスポンスが出来ていないんじゃないか、という状態での通しとなった部分もあった。一週間前くらいと比べて、通しごとの改善度合いが鈍って来ているのではないかという、ちょっとした危機感を持つ。
 勿論、各セクションのスタッフワークやアフターイベントの準備などで純粋な舞台稽古以外での時間が取り辛くなっていたり、通しがほぼ毎日のペースとなって、通しから通しまでの時間が短かったりと、色々仕方ない要因はあるだろう。しかし、俳優としての限界を感じたことがきっかけで脚本・演出を志すようになった自分としては、俳優というものはもっと、魂を燃やして物理的な無理を可能にするような、そんな超人であって欲しいという思いもあるのだ。
 確かに、もしかしたら全くの自分の杞憂かもしれない、と思う事もあるにはある。劇団員とはもう長い付き合いであり、それぞれのストイックさは十分理解し、信頼している。ゲスト出演の方々も本当に俳優としての魅力のみならず、とても真面目で熱血的な人ばかりである。自分がいらぬ心配をしているだけで、本番は何もかもうまくいくのか、という思いがしなくもない。しかし演出としては常に、「この作品はうまくいかないんじゃないか」という、そんなある種の、減点法的で悲観的な目線が必要なのではないかと思うのである。
 はっきり言うが、今回の作品「さわやかファシズム」、コケることはまずないと思っている。人それぞれ好みはあるだろうが、面白い、と多くの人に言ってもらえるであろうことは想像に難くない。しかし、そこで止まってしまっては困る。これだけの才能が集まってこれだけの期間みっちり稽古して、面白いのは当たり前なのである。「トータルで面白い」ではダメで、ひとつずつのシーン、ひとつずつのギャグ、そのただひとつも外さず、開演から終演まで、すべてがキレイに積み重なって行くような、そんなカタルシスが欲しいのである。
 そんなことを思いながらダメを出し、その後数シーンを稽古して、19時からは衣装パレード。毎度のごとく、衣装の小原さんが用意してくれた、膨大な数、かつハイクオリティの衣装を一着ずつ着ていく。
 チェックが終わった頃には21時を回っており、明日からのスケジュールなどの確認を何点か行い、稽古終了。いよいよ明日は、サブテレニアンでの最後の稽古。明後日からは小屋入りして、仕込み→場当たり→ゲネプロ→本番と、怒濤のスケジュールになりほぼ稽古の時間は取れなくなる。明日は数シーン返して夕方から通し稽古をし、そのまま稽古場をバラしてスタジオ撤去となる。残り少ない時間を、ただただ有効に使いたい。
 

2012年9月29日 (土)

犬と串「さわやかファシズム」 稽古場レポート05


9/28

 今日も13時から身体訓練、14時から舞台稽古。前日の通しを行った上で、返したいシーンを数カ所確認。
 出演者の力も借りつつ、今まで決まっていなかった音源がすべて用意出来たので、15時からは、新しい部分の音響的なきっかけを確認する。各シーンの意図が、ある部分はより明確に、ある部分は(いい意味で)より混沌の渦の中に入っていった。キューの数も非常に多く、またバシッと決まらないとカッコ悪いキッカケばかりなので、丁寧に多くの数をこなし、終わる頃には17時半。
 そこから40分程度の長めの休憩を取り、18時過ぎから再び舞台稽古。今日は、ここ数日この稽古場日誌にも散々書いて来た、行き詰まりを見せていた某シーンにかなりの進展が見られた。明日の稽古でブラッシュアップすれば、かなりイイ線まで行くのではないかと思っている。
 それにしても、本番が近付き各劇団員、自分が出演しないシーンの稽古の時に制作作業や舞台作業や小道具作業などを行ったり、休憩中や稽古後にアフターイベントの準備を行ったりと、朝から晩まで大忙しである。私がスタッフワーク全般に弱い人間なので、必然的にみんなに負担がかかってしまう。色々申し訳ないという気持ちや感謝の気持ち、こういう劇団で我ながら誇らしいなあという気持ちに混じって、どこか稽古に専念して欲しいなんてワガママな願望もある。まあ、作品に向けて全員が全力であることは間違いないので、贅沢な悩みと言えば贅沢な悩みなのかもしれないが。
 明日は音が全て揃った状態で昼に通し、その後少し稽古して夜には衣装パレードである。俳優たちとじっくり作り上げて来た作品に、ひとつずつテクニカルが揃っていく。演出家として、この上ない喜びである。

2012年9月28日 (金)

犬と串「さわやかファシズム」 稽古場レポート04


9/27

本日も、俳優は13時に集合して身体訓練。私といえば、14時までに稽古場に入ればいいのだが、ここ数日のストレスを少しでも晴らすべく、わざわざ13時半ごろに入り、身体訓練中の俳優の前で、ミスタードーナツをムシャムシャと見せつけるように食べてやった。
14時からは音響スタッフに来て頂き、劇中で使用するナレーションの録音。一言二言録音する程度であればすぐにでも終わろうが、犬と串では毎回、かなりの分量の台詞を録音して流す。すべて録り終えたのは17時頃であった。そこから音響関係の打ち合わせを行い17時。昨日の稽古場日誌にも書いた、一箇所だけメスを加えたいシーンを急ぎ目で稽古し、19時の通しを迎える。
全体としてだいぶシュッとしては来たが、まだ所々荒さが残る。そして問題のシーンはだいぶ見易くなったが、まだもう一味足りない。力のある俳優が揃ったシーンのはずなのに、自分の未熟さでどうも苦戦している。残りの時間で、いけるところまでいくしかない。
考えた上で、明日からはかなり、テクニカル重視でいこうという方針を立てた。たとえば、現在何かが足りないシーンが、衣装を加えることでちょうどいい塩梅になるかもしれない。イメージに合う音を加えることで、予想だにしなかった見え方になるかもしれない。
もちろん演技自体の問題というのもあるとは思うのだが、何がそうなのかを見極める上でも、テクニカルの問題をこれ以上先送りにしないほうがよい。
明日でバッチリそこを揃えて、残り少ない稽古時間を有効に使っていきたい。

2012年9月27日 (木)

犬と串「さわやかファシズム」 稽古場レポート03

9/26
今日も今日とて13時から身体訓練、14時から稽古。まずは前日の通しのダメ出しメモに従って、気になった演出を何カ所か変更。演出しながら「これでいいのか…?」と思う事も無きにしもあらずだが、冒頭からラストまで、通して作品を見ながら書いたメモを信じる。その後、ネタを2つカット。正直、これは心苦しい作業である。

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2012年9月26日 (水)

犬と串「さわやかファシズム」 稽古場レポート02

9/25
今日も昨日に続き、13時から1時間の身体訓練、14時から稽古。
本日は夕方過ぎから、3回目の通し稽古。それに備えて、昼は各シーンを洗いながら、劇中で使う音を当てていく。いわば、プチ場当たりのようなものである。サブテレニアンのスピーカーと音響卓を、存分に使わせて頂く。

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Theatreguide 「東北発〜演劇が結ぶ人・場所・絆」

 Theatreguide誌「東北発〜演劇が結ぶ人・場所・絆」に SUBTERRANEAN Dialogue を取り上げていただきました。

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『キル兄にゃとU子さん』〜Theatre arts より

2011年6月、SUBTERRANEAN 初演の、劇団満塁鳥王一座『キル兄にゃとU子さん』(SENTIVAL! 2011参加)が Theatre arts 選出の2011年ベスト舞台に選出されました。

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2012年9月25日 (火)

犬と串「さわやかファシズム」 稽古場レポート01

只今、サブテレニアンでは犬と串さんが10/3(水)〜14(日)まで王子小劇場で上演する「さわやかファシズム」(作・演出/モラル)の稽古中です。本日から、モラルさんによる稽古場レポートをお送りします。

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9/24

 はじめまして、「犬と串」という劇団を主宰しております、モラルと申します。
 10月3日からの第9回公演「さわやかファシズム」に向けて、今日からサブテレニアンをお借りしての集中稽古です。
犬と串って劇団は最近の劇団には珍しく、2008年の旗揚げ以来、出演者はほぼ劇団員のみ、というスタイルで公演を行ってきました。それがまあ何と今回は一気に、劇団員5人に対しゲスト9人の計14人という、半分以上がゲストという状況での公演となりました。
 犬と串といったら、一にも二にも、まずは身体性。脚本・演出の僕こそポッチャリしてますが、劇団員たちは皆、日々ストイックな身体訓練をこなし、美しくしなやかな身体性を目指し続けています。
 ゲストが入ってもそのスタイルは変わらず、稽古は今日も13時の集合から、まずは全員での身体訓練から始まります。よほどのことが無い限り、たとえ公演直前であっても、劇場入りまではこの時間は取ります。集合してすぐ台本稽古を行いたい気持ちもありますが、いかんせん体も動かせば大声も出す芝居なので、ギアのかからない状態で芝居されても、見れたもんじゃないんですね。
 身体訓練の後は、少し休憩を挟んで台本稽古。台本は既にラストまで完成しており、通しも2回行っている状態でのサブテレニアン入り。
 犬と串第二の特徴は、ひたすらナンセンス・コメディな作風。鍛えた身体から発せられるエネルギーを一滴も無駄遣いせず作品に注ぐため、各シーンを洗い、進み、時に立ち止まりつつ、稽古は進んで行きます。「もっとテンポあげて」とか「そこは下手に退場して」とか、ごく普通の言葉に混じって、「ここで流血出来ない?」とか「ちゃんとチンコの気持ちになって」とか、犬と串ならではの言葉も。文字にすると何だかアホみたいですが、小劇場界でも屈指のストイックな現場ではないかと思っています。
 不安なシーンをいくつか確認して、終わった頃には20時半過ぎ。稽古は22時までの予定でしたが、これ以上は明日の通し稽古をやってみないと分からないな、と判断し、稽古は終了。「何度も同じ事をやっていると面白いかどうか分からなくなる」ってえのがコメディの難しい所でして、明日まで一旦、作品をクールダウンさせたいと思います。
 そういう訳で、明日は3回目の通し稽古でございます!
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