犬と串「さわやかファシズム」 稽古場レポート06
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本日は14時から通し稽古なので、入り時間は自由にし、各自14時までに準備を済ませてもらう。
1シーンだけ通しまでに稽古したいシーンがあったので、そのシーンに出演する俳優のみ12時に集合してもらい、段取りを確認。
その後13時半頃から音のきっかけを確認し、14時から無事に通し稽古開始。音も全て揃い、各シーンの繋がりもスムーズにいったことで、かなり本番に近い状態の通しとなる。
だがそれゆえ、今までスルーしてきたような細かいミスが気になる。前の通しでダメを出した部分で、反映されていた部分もあるのだが、これは俳優のレスポンスが出来ていないんじゃないか、という状態での通しとなった部分もあった。一週間前くらいと比べて、通しごとの改善度合いが鈍って来ているのではないかという、ちょっとした危機感を持つ。
勿論、各セクションのスタッフワークやアフターイベントの準備などで純粋な舞台稽古以外での時間が取り辛くなっていたり、通しがほぼ毎日のペースとなって、通しから通しまでの時間が短かったりと、色々仕方ない要因はあるだろう。しかし、俳優としての限界を感じたことがきっかけで脚本・演出を志すようになった自分としては、俳優というものはもっと、魂を燃やして物理的な無理を可能にするような、そんな超人であって欲しいという思いもあるのだ。
確かに、もしかしたら全くの自分の杞憂かもしれない、と思う事もあるにはある。劇団員とはもう長い付き合いであり、それぞれのストイックさは十分理解し、信頼している。ゲスト出演の方々も本当に俳優としての魅力のみならず、とても真面目で熱血的な人ばかりである。自分がいらぬ心配をしているだけで、本番は何もかもうまくいくのか、という思いがしなくもない。しかし演出としては常に、「この作品はうまくいかないんじゃないか」という、そんなある種の、減点法的で悲観的な目線が必要なのではないかと思うのである。
はっきり言うが、今回の作品「さわやかファシズム」、コケることはまずないと思っている。人それぞれ好みはあるだろうが、面白い、と多くの人に言ってもらえるであろうことは想像に難くない。しかし、そこで止まってしまっては困る。これだけの才能が集まってこれだけの期間みっちり稽古して、面白いのは当たり前なのである。「トータルで面白い」ではダメで、ひとつずつのシーン、ひとつずつのギャグ、そのただひとつも外さず、開演から終演まで、すべてがキレイに積み重なって行くような、そんなカタルシスが欲しいのである。
そんなことを思いながらダメを出し、その後数シーンを稽古して、19時からは衣装パレード。毎度のごとく、衣装の小原さんが用意してくれた、膨大な数、かつハイクオリティの衣装を一着ずつ着ていく。
チェックが終わった頃には21時を回っており、明日からのスケジュールなどの確認を何点か行い、稽古終了。いよいよ明日は、サブテレニアンでの最後の稽古。明後日からは小屋入りして、仕込み→場当たり→ゲネプロ→本番と、怒濤のスケジュールになりほぼ稽古の時間は取れなくなる。明日は数シーン返して夕方から通し稽古をし、そのまま稽古場をバラしてスタジオ撤去となる。残り少ない時間を、ただただ有効に使いたい。
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