スポンジ『魚のいない水槽』レポ04
4日目
脱稿した台本を役者に渡す。色々な作家がいると思うが、僕は役者を見ながらでしか書いた事がない。その分、毎回この時期に脱稿する事が多いのだが、これは役者にとっても大変不安だと思う。先の分からない物語に向かって演技をする。勿論、僕の方は作家でもあるから全部ではないにしろ物語の終わりが分かったりする。ただ書いている過程でそれが大きく変わることもある。だから皆、稽古では分からない先に向かって演技をしていくのだ。先が分かると安心する役者もいるのも分かる。ただ人生はどうだろと考える。先の事はこうしたいと思うことはあっても、実際先は分からないしそうならない事だって多々ある。だから物語はスムーズでなくても良い。いびつな事が面白かったりする。時には 思いもよらない感情が生まれたりもする。
本読みをして早速、段取りをつけていく作業。通常稽古では段取りを後回しにし、役者に遊んでもらうこともあるが、おおざっぱな段取りだけはとりあえず最初につける事が多い。
大体どの辺にいると見栄えが良いか、というコトを決めておくと後々楽というのもあり、また、この人とこの人との距離はこのくらいと立ち位置で自分と周りの距離感を知っておくと、その後も動きやすいからだ。
また段取りをつけていく最中にも役者とディスカッションをする。そすると書いている時には分からない発見があったりする。各役者の生理、距離が微妙に僕とは違うからだ。これを知ることが出来るのは作品を書いて演出できる特権だと思う。机の上で散々悩んで書いた台本が演出する際には邪魔になったりしてあっさり削ることもあるし、逆に追加をして台詞を足すことも出来る。もともと僕が役者をやっていたからと云うこともあり役者がよくみれば良いと云う所に毎回落ち着く。
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