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2011年12月 6日 (火)

ペピン結構設計 石神夏希インタビュー

SUBTERRANEAN Dialogue

三角フラスコ×ペピン結構設計「ハウ・アー・ユー?」
-仙台と横浜、それぞれの物語。2作連続上演-
2011年12月10日(土)~13日(火)

三角フラスコの生田恵さんに続き、インタビューの第二弾はペピン結構設計の石神夏希さんです。
今回の企画がうまれるきっかけとなった出来事や、作品のことについてお話をうかがいました。

---このたびDialogue シリーズの第一弾として、ペピン結構設計さんと三角フラスコさんとの間に生まれてくる対話を楽しみにしています。この度の企画の発端にもなった出来事だと思うのですが、石神さんとペピン結構設計さんのメンバーで4月に仙台を訪れたそうですね。その時のことについてお聞かせいただけますか?

三角フラスコさんとは2004年頃から、毎回ではありませんが、お互いの公演のあるときに仙台と横浜を行き来させて頂いていました。ペピンにとっては遠くに住むお兄さんお姉さんみたいな劇団です。特に制作の森さんはうちの公演をよく観て下さっていて、ペピンの制作・里見を通じて親しくさせて頂いていました。
地震発生直後からずっと、Twitterで森さんが精力的に演劇関係者の安否情報を収集・発信されているのを見ていました。と同時に、森さんのご両親が行方不明であることを知り、自分には何ができるのか、何をしてもいいのか、身がちぎれるような思いでした。その後、森さんが里見と私に電話をくれました。そのときに、仙台へ行くことを決めました。
4/10に日帰りで、高速バスで仙台へ向かいました。森さんとお会いしてお話しして、そのときに、震災後初めての稽古を終えた生田さん・瀧原さんともお会いすることができました。皆さん、2月のペピンの公演のときには横浜までそろって観に来て下さっていたんです。
このとき印象的だったのが、森さんはじめ皆さんすごくたくさんお話ししてくれたことですね。地震のずっとずっと前のことから、地震の後のことまで。そこで感じたのは、「何をやれるか」の前に、東北の人たちの話を「聞く」ことから始めたいなということです。その口火を切るために、東北へ足を運ぶこともあっていいし、今回の公演も私は「聴き手」の立場だと思っています。でも対話は一方的ではあり得ないので、三角フラスコさんが今回上演する「はなして」への応答として、私たちの今考えていることを形にしてみる、というつもりです。

--- 私の所属するサイマル演劇団は4月に公演を行いました。余震の中稽古をしていたので、本番中の安全が確保できるかどうか真剣に考えました。ですが、内容そのものについては、直接そういった類のことを扱っていないということもあり、地震の前から考えていたことをそのまま上演することに、大きな抵抗を感じることはありませんでした。石神さんらペピン結構設計さんは、プロフィールにも「日々の生活から生まれる問題意識を持ち寄り、作品に反映させる」とあるように、ご自身の体験や感受性に向き合って作品を作っていらっしゃるのだと思います。3月11日の地震を体験したことは、作品に影響してくると思われますか? 影響してくるとしたら、どのような影響でしょうか?

私たちの活動に影響を及ぼしたものとしては、「地震の揺れを体験したこと」というより、その後の生活の変化の方が大きかったと思います。
まず主要メンバーの一人がNGOの職員だったので、復興支援活動のため気仙沼へ派遣され、いつ帰ってくるか分かりませんでした。この間ほとんど電話もメールもつながらず、実質的に活動停止状態に陥りました。
ペピンのメンバーたちは仕事で海外に数週間滞在することもあるため、最初はそれほど違いを認識していませんでしたが、彼の不在がじわじわと効いてきて、活動が滞るようになってきて。休止という話も出ました。
今回、三角フラスコさんに声を掛けて頂いてほどなくして、気仙沼に行っていたメンバーが突然帰京しました。この2つが重なって、今回の公演参加につながりました。
ペピンには、彼のように東北で被災の現実に向き合っていた人もいるし、近しい親戚を津波で亡くした人もいます。一方でちょうど東京にいなかったので地震の揺れ自体ほとんど体験しなくて「節電以外は全然変わりなかったしピンと来ない」というメンバーもいて。今回改めて「ああ私たちって本当にバラバラなんだな」と認識しました。そこで例えば「なんで分からないんだ」と怒ったり苛立ったりする人が全然いなかったのがよかったと思います。「ひとつになろう」の真逆ですね。
そういうバラバラさを否定しないでそのまま一緒にやる、ということがペピンの組織風土なのですが、これからも大事にしてきたいなと思いました。

---今回の公演では、対談を行い、お客様ともお話をする機会をもうけたいと思っています。今回見にいらっしゃるお客様に何か聞いてみたいことがありましたらお願いいたします。

「今、何が一番話したいことですか。一番聞いてほしいことは何ですか」って訊きたいですね。「私でよければ聞きますよ」と(笑)。「はなして」ってすごくいいタイトルだと思っています。
私にとってはペピンがそうです。本当に聞いてほしいことを話せる場所なんです。うまく話せないことも多いですが。

2011年12月
聞き手 さたけれいこ

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